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きみがすき

第24章 *いち*



そのままテーブルに突っ伏した雅紀。
隠してない耳は、茹でた蛸。


…やっぱり俺が教えるべきじゃなかったかな。
まぁもう遅いけど。

「…相手と自分の為に、男でもゴムとローションは必要だよ。」

どっちがどっちかは知らないけど、何となく雅紀が上かな…?

「あとは~…」

相「俺……
…今…脳みそ動かない…」

そう、くぐもった声で呟いた。


雅紀の気持ちはわかる。
普通男同士でもできるなんてノーマルだった奴は知らないよな。

俺もそうだったからさ。
衝撃的。だよな。

…でも


「良かったなって」


相「ぇ…?」
俺の声に伏せたまま顔を向ける。

「そりゃさ…男同士だから体の構造は合わないけどさ。それでも大切な人と1つになれるって…すごく幸せだなって。
…だから方法があって良かったなって。」
そう思ったんだ。


相「…。」






『潤くんの!!バァーーカ!!!』


俺の想いを、かずが受け止めてくれたのは半年前だ。

俺ね。かずのことが、ずっとすきだったんだ。

ちょっと怒りつつ、でも恥ずかしそうに「すき」と伝えてくれたかず。
泣きそうなほど嬉しくて、かずを大切に…大切にしよう。ってそう誓ったんだ。






相「潤?」


「へ?…あ…わり。」


相「ニノのこと?」
と俺を覗く。


「っ違、…………そうだよ。」

別に、隠すことじゃない。

相「ふふ。ほんとだ。すきな人のこと考えてるとわかっちゃうもんだね。」
さっきのウブさは何処へやら。ふわっと優しく笑う雅紀。


なんか
「…似てるな。」


相「え?似てる?」


「雅紀と大野さん。」

雅紀はキラキラと。大野さんは穏やかに。
けど、ふと見せる ふわっと笑う姿がなんだか被った。

そんな事を言う俺に雅紀は首を傾げ。でも、そ?っと嬉しそうに笑った。




相「潤は幸せ?」


「急に(笑)」


「幸せ?」

尚もそう聞く雅紀。

そんなの…
「あぁ、幸せだよ。」と素直に返した。

すると
相「良かった。」と。
そして「じゃぁニノも幸せだ。」と付け加えた。


それは…かずが感じることだ。けど

「俺が幸せにしたいよ。」


相「ふふ。さっすが、俺の推しメン!」
と満面の笑み。



なんだそりゃ。

…でも

「じゃ、俺の推しメンは雅紀だよ。」


本当にね。

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