きみがすき
第24章 *いち*
そのままテーブルに突っ伏した雅紀。
隠してない耳は、茹でた蛸。
…やっぱり俺が教えるべきじゃなかったかな。
まぁもう遅いけど。
「…相手と自分の為に、男でもゴムとローションは必要だよ。」
どっちがどっちかは知らないけど、何となく雅紀が上かな…?
「あとは~…」
相「俺……
…今…脳みそ動かない…」
そう、くぐもった声で呟いた。
雅紀の気持ちはわかる。
普通男同士でもできるなんてノーマルだった奴は知らないよな。
俺もそうだったからさ。
衝撃的。だよな。
…でも
「良かったなって」
相「ぇ…?」
俺の声に伏せたまま顔を向ける。
「そりゃさ…男同士だから体の構造は合わないけどさ。それでも大切な人と1つになれるって…すごく幸せだなって。
…だから方法があって良かったなって。」
そう思ったんだ。
相「…。」
*
『潤くんの!!バァーーカ!!!』
俺の想いを、かずが受け止めてくれたのは半年前だ。
俺ね。かずのことが、ずっとすきだったんだ。
ちょっと怒りつつ、でも恥ずかしそうに「すき」と伝えてくれたかず。
泣きそうなほど嬉しくて、かずを大切に…大切にしよう。ってそう誓ったんだ。
*
相「潤?」
「へ?…あ…わり。」
相「ニノのこと?」
と俺を覗く。
「っ違、…………そうだよ。」
別に、隠すことじゃない。
相「ふふ。ほんとだ。すきな人のこと考えてるとわかっちゃうもんだね。」
さっきのウブさは何処へやら。ふわっと優しく笑う雅紀。
なんか
「…似てるな。」
相「え?似てる?」
「雅紀と大野さん。」
雅紀はキラキラと。大野さんは穏やかに。
けど、ふと見せる ふわっと笑う姿がなんだか被った。
そんな事を言う俺に雅紀は首を傾げ。でも、そ?っと嬉しそうに笑った。
相「潤は幸せ?」
「急に(笑)」
「幸せ?」
尚もそう聞く雅紀。
そんなの…
「あぁ、幸せだよ。」と素直に返した。
すると
相「良かった。」と。
そして「じゃぁニノも幸せだ。」と付け加えた。
それは…かずが感じることだ。けど
「俺が幸せにしたいよ。」
相「ふふ。さっすが、俺の推しメン!」
と満面の笑み。
…
なんだそりゃ。
…でも
「じゃ、俺の推しメンは雅紀だよ。」
本当にね。