きみがすき
第25章 *に*
大「しょーくん♪」
力を入れなくても簡単に二宮くんから離れた体。
そしてそのまま俺の胸にすっぽり収まった。
…
……
少しくらい躊躇しろ…阿呆。
でろんでろんとは言え、問題だな…
「…はぁ……
酒くせーな…」
結局、やっぱり"これ"は治ってなかったか。にしてもなんでこんな酔うまで飲んだんだ?
二「櫻井さん…」
その声に顔を向ける。
店の光に照らされた顔には、ほんわり。と赤みがさして、彼にもアルコールが入ってる事がわかる。
「大丈夫だった?」
二「え?」
「死守した?」
ここ。と人差し指を唇に当て示す。
二「ぁ…なんとか。」と苦笑いをして「仕事中だったんですよね。すいません。俺…智さん家知らなくて…」とその眉を下げた。
「それはいいよ。そろそろ帰ろうとは思ってたから。
相葉くんは?店?」
俺の肩に顔を付けたまま静かになった智くん。
このまま寝るんだろうな。…また部屋まで担ぐのか…
二「連絡はしたんですが電話でなくて。
でも…でれてもきっと来れなかったかなって…」
…そうか。今日は華の金曜日。
てか、相葉雅紀は智くんの"これ"知ってんのかな。
「この人どんだけ飲んだの?」
ここまで酔ってる智くんは珍しい。
二「かなり…。ビールにワインに日本酒、焼酎、ハイボール…だったかな。ピッチも速くて…」
「は?そんなに?」
なんだそれ。これじゃ自分から酔いに行ったようなもんじゃん。
二「智さんが…櫻井さんから酒癖治ったって言われたって。
それを俺が信じなかったから、証明する。って言い出して…」
…あぁだから
「それで俺は『嘘つき』って事ね。」
二「ぁ…さっきは、すいません。」
「まぁ確かにその話はしたけど、俺が言ったのは「治ったかもね」だ。
あー…中途半端にして釘刺さなかった俺も悪いね。ごめんね二宮くん。」
二「いえ、俺も智さん止められなくて。」
変なボタンあるからねこの人。それに頑固ちゃんだし。
つーことはだ
「甘えてんな。」
二「え?」
「智くん。二宮くんに甘えてんなって。」
すっかり俺に身を任せた貴方に視線を落とす。
"こう"なろうがならなかろうが、二宮くんなら大丈夫。そう思ったんだろうね。
気の許せる友達。
良かったね。智くん。
ふわふわと揺れる髪を感じながら、自然と口角が緩んだ。