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きみがすき

第26章 *さん*



櫻井さんの瞳の矛先が俺じゃないと分かり、肩の力が抜ける。

と、同時に
俺の頭の上には、はてなマーク。

『何があったのかなって。』

断定?
櫻井さんの言い方は"何か"があったかを聞いてるのではなく、"何が"あったのかのを聞いている。


「…なんで?」


櫻「ん?あー。智くんがさ、ここまで飲むって滅多ないからさ。
飲みたい何かがあったんだろうなって。」
と、穏やかになった顔で答えた。

「…。」

…確かに吐いて酔いつぶれている智さんを見るのは初めて。てか、会社の飲みでも俺と飲んでても、自制して飲まないようにしているからだけど。

櫻「二宮くんに甘えてたとしても…だからって、こんなちゃんぽんして、ましてやハイピッチだろ?
らしくねーなって。」


「あの…話を折って悪いんですけど。その…俺に甘えてるって?智さんが?」


櫻「…あぁ。
智くんさ、酔うとセクハラ男になるだろ?それで大学ん時、まぁ…色々あってさ。
だから、智くんが飲みたい時は対応に慣れてる俺が居る時にって、約束っつーか、暗黙の了解のようになったんだよね。」

…あー…
確か、智さんが前にそんなこと言ってたような。

櫻「でも、今日は俺が居なくても飲んだ。
ってことはだ、二宮くんになら後の処理任せても大丈夫。って思われちゃったんだろうね。」
とにっこり笑顔の櫻井さん。


処理て…
それは…智さんが俺に気を許してくれているって事で……いや、でもだって"この"智さん。でしょ…?

櫻「たーいへん(笑)」
無事を祈る。と縁起でもない言葉を付け加えた。


…今は考えないことにしよう。


櫻「ま、ただ気分良くなって飲みすぎただけなら良いんだけど…
久々にこんな智くん見たからさ。どうしたのかなって。
んで、一緒にいる二宮くんなら知ってるかなって。」


「何があったか…」



こうなるまで飲みたかった理由…

ここ最近の智さんの様子を思い出す。
別に仕事でやらかした訳でも、立て込んでた訳でもないし…

小林?
が迫ってきて困ってる?
…いや、ないな。小林の好意に気が付いてないくらいだし。

あ、そう言えば…
社内で昼メシ食べた後は必ず仮眠を取るようになったな智さん。
でも…これは結構やってる人要るしなぁ。



……じゃぁそうなると

相葉さん?

順調だと思ってたけど…
何かあった?

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