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きみがすき

第26章 *さん*

*櫻井*




手元を見れば
もうすぐ日付が変わる時刻。


右を見れば
すっかり顔色も良くなり、くぅくぅ。と気持ち良さそうに眠っている智くん。

左を見れば
俺の問い掛けに、すっかり考え込んでしまった二宮くん。


俺の思い過ごし…かな。
それなら、それに越したことはない。

「俺の、考え過ぎだったみたい。」


二「…え?」


「駄目なんだよなぁ
俺さ、どうも智くんには過保護になるみたいで…。
付き合わせちゃってごめんね。」
自分で自分に苦笑いが出るよ。

貴方は大丈夫なのにね。



二「…ねぇ櫻井さん?」
さっきよりも呂律が回復した二宮くんの声。
見れば…

二「智さんは、櫻井さんのなに?」


…は?

……なにって…

「…友達…だよ。」


二「ただの?」
更に伺うように俺を覗き込み問い掛ける。



……何を聞きたい?

何を言わせたい?


二「ただの友達?それとも大切な友達?」
俺が返答に困ってる事をわかってか、選択肢を提示する。

…てか、なんだその選択肢。

そんなの

決まってるよ。


「大切な友達だよ。すごくね。」


二「そっか。ならね。いいと思うよ俺は。」
そう言って、にこり。と笑う。

「…なにが?」

ますます意味がわからない。
きっと今の俺はさっき指摘されたように、眉間に皺を寄せていたのだろう。

二「過保護。ですよ。
そうやって難しい顔して真剣に考えてくれて、心配してくれる友達。俺なら嬉しいし、そうなれる友達が居るって凄くないですか?」
と、俺を顔を指差し、覗き込んだまま仔犬のような可愛らしい微笑みを見せる。




……あぁ、そうか…


「…二宮くんは、居るの?そんな人。」

聞かなくてもなんとなくわかる。

二「はい。煩いのが(笑)」


「あは。煩いんだ?」


二「煩いですよ。いっつも騒がしくて、バカで、そそっかしくて…でも、バカみたいに優しくて、お人好しで、んでもってバカ真面目。

俺の、とても大切な友達です。」


「ふふ。そっか。」


だってさ、智くん。


二「…でも…最近その友達の様子が変だって、俺の恋人が言ってて。俺も心配してるんですけど…。
智さんと関係ない?ようなことは言ってたみたいで。だから違うかな…。
俺が思い当たるのはこれくらいです。」

お役に立てず すいません。と肩を竦めた。

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