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きみがすき

第26章 *さん*

*二宮*




櫻「そんな事ないよ。ありがとう。」
そう微笑んで、櫻井さんは俺から視線を外して夜空を見上げた。

その瞳は…ゆらゆらと揺れる。


『過保護』

きっと、この言葉には俺の知らない智さんへの想いが、たくさん詰まってるんだよね?


櫻井さんが、智さんに友達とは別の特別な感情があったのは勘違いじゃないと思う。
それでも…智さんの初恋を誰よりも喜び、その背中を押していたのは櫻井さんだ。

…だからこそ

複雑。なのかな
智さんにすきな人ができて、両想いになって、付き合ってる。


俺が相葉さんを大切に思うように
変わらずに櫻井さんは智さんが大切で
そして智さんも櫻井さんのことが大切。


俺と相葉さんに、大切な過去があるように
2人にも俺が知りようもない大切な過去があるんだろうね。


さっき俺が言った事。
これが櫻井さんにどう届いたかは分からない。

けど…

けどね。
俺はこの人にも幸せになってもらいたい。


大きなお世話だろうけど、そう思うんだよ。



そんな事を想いながら
空を見上げる形の良い横顔。を見詰める。

と、

櫻「智くんとさ、相葉くんって似てるよね。」
そんな声が耳に届く。

「…似てる?」


櫻「うん。似てるなって。」

似てる?か?
「どこが?」


櫻「ふふ。さぁ?どこかなぁ?」

…なにそれ…

櫻「さっきの話さ…もし、もしもさ、2人の間に何かあったとしても、智くんと相葉くんなら大丈夫じゃないかな。」



なんで?
っていう言葉は呑み込む。

だって
「俺も、そんな気がします。」

わかんないけど…天然コンビ。だからってことにしておこう。
あ、逆に不安かな(笑)

櫻井さんは、ふふ。と笑って
「さぁって、そろそろマジで帰らねーとな。」と、腕をあげて伸びをした。


あ。
「櫻井さん、あの…!」
櫻「そういや、二宮くんの携帯?さっきっからずっと鳴ってない?」
俺の隣に無造作に置いてあった鞄を指差した。

「え?」
と鞄を触れば、ヴーヴーと微振動を繰り返す。

あれ?ほんとだ。
全然気がつかなかったや。

つーか、こんな時間に誰?

櫻井さんに、すいません。と声をかけ鞄から目的の物を探り取り出す。

ディスプレイには…相葉雅紀 の標示。

え?なに?こんな時間に?

不審に思いつつ、櫻井さんに断り通話ボタンを押した。

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