
きみがすき
第26章 *さん*
「も…」
相「あ!ニノ!?やっと出た!!
ねぇ今どこ?どこにいるの?!!」
「っ!!!う~…っせぇ…」
俺がもしもしも言い終わらないうちに、大音量で聴こえてきた煩い声。
に、思わず携帯を耳から外す。
なっ、んなんだこいつは!こんな夜中に!
マジで耳がキーーン。だ!キーーン!!
相「…あれ?もしもしニノ?!
聞いてる?!大丈夫?!ニノ?!!」
別に、携帯をスピーカー仕様にした訳じゃない。
のに、溢れてくる騒がしい声。
ふ。っと笑い声に前を向けば、どうした?と言わんばかりの苦笑いの櫻井さん。
ごめんなさい。と先に謝っておく。
そして息を1度大きく吸って
「っうっせぇな!
聞いてるよ!お前は声が大きいんだよ!」
と、吐き出した。少しだけ控えめにね。
相「……あ、ごめんニノちゃん…
って!それどころじゃないでしょ?!
ねぇどこ?!?大ちゃんは?!」
はぁ?!
訳がわからん。
てか、
「相葉さん、あなた今どこにいるの?」
煩い声の奥で聴こえてくるのは、ざわざわと人の声や、車が行き交う音。っぽい。
相「どこって外だよ。」
外?なんで?
それに
「なんでそんな息上がってんの?」
言葉の合間に、はぁはぁ。と、ついさっきマラソンでもしたかの様な呼吸音。
聞き取りにくいったらありゃしない。
相「そんなことより、今どこだって?!」
そんなことって…
いや、気になるでしょ…
さっきっから、どこどこどこどこ煩い相葉さん。
これじゃらちが明かない。と諦めた俺は
「△△駅西の○○店の前のベンチ。だけど?」
と伝えた。
相「え?!駅西?!うげっ…マジか逆じゃん…
わかった!ありがとう!そこで待ってて、すぐに行くから!
そこに大ちゃんもいるんだよね?!」
「は?!来るって?え?おまっ店は…」
ブチッ。…プー…、プー……
途切れた通話。
…
……
はぁ?!
なんだこいつ。
てか質問しといて先に切るか?
携帯を耳から外しつつ俺は溜め息をついた。
櫻「今の、相葉くん?」
その声に顔を上げれば、にやけ顔の櫻井さん。
「…あ、そうです。」
櫻「確かに煩かったな(笑)」
あはは。と笑ってくれる。
ただ漏れだよね。会話。
「なんか、今からここに来るって…」
腕時計を見れば
もう店は終っている時間だ。けど…
