きみがすき
第27章 *よん*
「はぁ…はぁ…ちょっと…相葉さん…」
俺の鞄を持ったまま前を歩く相葉さん。
角を曲がって、智さんと翔さんが見えなくなる位置にくると、相葉さんの脚は駆け足から歩きへと変わった。
そんな相葉さんに、なんとか追い付いた俺は、息も絶え絶えに声をかけた。
「はぁ…ねぇ、どうしたの?なん…」
相「あーーー!もう!」
!?
またも、さっきほどじゃないけど、大きな声を出し、そしてストン。としゃがみ、グチャグチャ。と自分の頭を掻いた。
ひぇ…
あ、いや、引いてる場合じゃない。
つーか俺の鞄。
しゃがむと同時に相葉さんのお腹に抱え込むように潰された鞄。
ま、大したもの入ってないからいーか。
…はぁ…
いまだに頭を抱え込んでいる相葉さん。
俺は、その隣に寄り添うように一緒にしゃがんだ。
きっと…端から見たら、男2人が仲良くくっついてるヤバイ絵だ。
でも、そんなのどーだっていい。
「俺でよかったら聞くよ?」
そう、声をかけた。
その声にピクっ。と肩を震わせ、グチャグチャになった前髪の隙間から、ゆっくりと少しだけ色素の薄い瞳が俺を見た。
相「ぅ~…ニノォ~…」
「はいはい。何よ?」
相「…俺…間違った?かな…」
ポツリ。と呟いて下を向いてしまった。
「…さっきの?」
相「…ほんとは…ほんとは…!
俺、もっと大ちゃんといたかった!
ほんとは!俺が大ちゃんのこと家まで送りたかった…!」
相葉さんは腕の中に顔を埋めたまま、そんな気持ちを吐き出した。
「…うん。」
相「…でも!でも……
翔ちゃん見て…あんな哀しそうな顔。するんだもん……無視できないよ…。」
相葉さんが今、どんな顔してるのかは見えない…けど…きっと…
「……相葉さん。」
相「俺、大ちゃんには笑ってて欲しい…。哀しい顔なんてさせたくない。」
だから…
「だから、2人にしてあげたの?」
相葉さんは、こくん。と頷いた。