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きみがすき

第27章 *よん*

*二宮*




『俺、間違ったかな。』


相葉さんが問いかけたその答えは、俺にはわからない。


…けどさ

あの2人は…違う。

違うんだよ。



自分の腕に、顔を埋めたままの相葉さん。
グチャグチャになってしまった本来はさらさらの髪の毛に、俺はゆっくりと手を伸ばす。


ね…

優しいでしょ?

自分のことよりも人のこと。

ね?バカなんだよ。

優しすぎるんだよ。


…あ

そういうところが、似てるのかな。

ねぇ翔さん?




そっ。と夜風に揺れる髪に、触れ…

相「よし!うん!反省終わり!っあて!…え??」

る。前に、また大きな声を出して盛大に頭を上げた相葉さん。

相「へ?…なに?なんでニノ叩いたの??」

そんな事を、頭を抑えながら豆鉄砲喰らったような顔で俺に言う。


人が珍しく慰めてやろうとしたところに、頭上げたからでしょうが。


…つか…泣いてないんかい。


「へっ。気合いだよ!気合い入れてやったんだよ。」


あっぶな…頭撫でなくて良かったぁ。


相「…きあい…?
……くふ。うん。そうだね!
気合いが必要だよね!ありがとうニノ。」

どう巡って納得したのか、ご丁寧にお礼まで言われる始末。


ほんとバ…単純。
いつか、騙されて高額な壺でも買わされるんじゃない?



ふっ…。と

『金がいるって…。俺、心配で…』

不安気に歪んだ、兄弟なのに似てないあいつの顔が…何故だか言葉と共に脳裏を過った。


あー…

…もう騙され済み…か。




バシっ!!

相「って!!
痛ったいよ!もぉ!」

これは過去。忘れていい過去。終わったこと。

相葉さんは、もう大丈夫。

だから…もっと欲張りになって良いんだよ。


そんな気持ちを込めて、渾身の力で背中に平手をお見舞いする。

「なによ。闘魂注入よ?
……つーか俺も手ぇ痛てぇ…」

プラプラ。目の前で手を振れば…

相「……くふっ…んふふふふ。バカじゃん。」
可笑しそうに笑う。


俺もね、相葉さんには笑ってて欲しいよ。



「智さん。さ…」


相「ん?」


「相葉さんのこと、大すきじゃん。
俺、あんな智さんの顔。初めて見たもん。」


相「え?…かお?………………ぁ…」


あ。と小さく呟いた相葉さんは…

その顔を、みるみる赤らめた。




いや……今頃?

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