きみがすき
第28章 *ご*
俺が勢い良くタックルしたもんだから、相葉ちゃんの背中は壁にトン。とぶつかった。
相「…俺、汗臭いかも。」
なんて事を言うけれど、相葉ちゃんの腕は俺の腰へと回される。
俺こそ…
「俺は汗臭いし、酒臭いよ…。」
相葉ちゃんの肩に顔をつけたままぼそっ。と言えば
相「っあは!確かにー(笑)」
…
……確かにー。
なんだけどさ、そんな遠慮なく笑わなくても。と、文句を言おうと顔を上げた…
「んっ…」
瞬間に落とされたキス。
くふ。と笑って直ぐに離れていく。
…けど
「……ん。」
驚く暇も目を閉じる暇も無く、角度を変えてキスが降ってきた。
そのキスに、思わず背中に回していた腕に、ぎゅう。と力が入る。
「……違うよ…」
俺は、キスの合間にそう漏らす。
相「え…?」
サプライズなんかじゃない。
俺がね…
「相葉ちゃんに…会いたくて来ちゃったんだよ…。」
そう。伝えれば…
貴方は、その綺麗な瞳をこれでもかと嬉しそうに細め
相「そっちの方が、何百倍も嬉しい。」
そして、ぎゅっ。と身長差を埋めるように腰に回していた腕が俺を引き寄せる。
相「ね…?口。開けて…?」
もう待てない。と囁く声。
俺だって…とっくに限界だよ。
ゆっくりと口を開ければ、相葉ちゃんと俺との距離はゼロになる。
さっきより少し強く塞がれた口、するり。とそれより少しだけ熱いモノが入ってくる。
もう…何度もキスはしてるのに…
相葉ちゃんとのキスは、どうしてこうも俺の心臓を締め付けるんだろう。
「…ふっ……ん……」
本当は、こんな声だってかっこ悪いし出したくない。
けど…止められない。
なんでかな…
もっと…
もっと…って欲しくなる。
ちゅ。と音をたてて離れた唇。
「…はぁ……」
と、お互いに息を吐いた。
耳に聞こえるのは2人の呼吸の音。
相「ねぇ…大ちゃん?」
「…ん…」
相「…大ちゃんは、さ…その…」
?
相「……知って…」
ーカタン。
!
微かに聴こえた物音。
…
……気のせい?
ーガタン。…ガタ。
じゃない…。店の奥から
『…あ、……ん…』
「……ぇ」
相「……」
…え?
物音に混じって声?も聴こえる。
なに?と相葉ちゃんを見れば
相「…あー…」
と、俺を見て苦笑いをした。