きみがすき
第28章 *ご*
ーギシ。ギシ。カタン…。
『……あ、…まっ……あぁ……』
1度気になったら、もうその音が気になって…
…え?
なに?…ここって…
「でるの?」
困ったように笑っている相葉ちゃんに問う。
相「でる?……あぁ!お化けのこと?」
別にオカルト系は信じてないけどさ。
この感じはもしや…と、こくん。と頷けば。
相「違う違う(笑)
潤とニノだよ。休憩室にいるから。」
「え?あーそうなんだ。
……って、え?!いるの?!」
相「うん。ずっといるよ。」
ずっとって…な…俺、想いのままに抱きついたり、キスしたり…
もしかしたら見られちゃったかもじゃん!
つーか、ここお店だ…。
なんて今更、急激に恥ずかしさと一緒に心拍数が急上昇。
相「どうしたの?顔、真っ赤だよー?」
わたわた。と、慌てて離れようとする俺をしっかり捕まえて、楽しそうに笑う相葉ちゃん。
もぉ!わかってるくせに!
相「ふふ。大丈夫だよ。
2人は…たぶん、暫く出てこないから。」
…え?
「なんで?」
相「でも、もう帰りたいよね。俺も終ったし。
…邪魔しちゃ悪いけど、仕方ないよね。」
なんて、独り言のように話して
結局いまだにくっついたままの俺に、相葉ちゃんは にぱっ。と笑った。
「邪魔…?」
…あ、2人でいるからか。
でもなんで休憩室?
相「大ちゃんは、ここで待ってて?」
と、ぎゅっ。と1度俺を抱き締めてから、するっと離れていった。
…
……
寂しいと思う俺はおかしいのかな…
お店の奥へと歩いていく相葉ちゃんの背中を見つつ、自分のこの感情に溜め息が出た。
と、見えなくなって直ぐに
コンコンコン。じゃなくて
ドンドンドン!とドアをノック?する音と
相「潤!ニノ!
俺、終わったから帰りたいんだけど。あと5分したらドア開けるからね。」
そんな相葉ちゃんの声に、途端、さっきまで聴こえていた音も声もピタッと止まる。
…5分?
そして直ぐに戻ってきた相葉ちゃんに
「2人は何してるの?」と聞けば
相「…ぇ…あー…何してんだろうね。まったく。」
困ったように笑って
相「…まぁ…俺らも人のこと言えない、かな…。」
と気まずそうに俺から視線を外した。
俺らも?
…
……
…あ……