きみがすき
第28章 *ご*
…え……
それって……
今思えばあの声…
ついさっき、やっと引いたと思った心拍数がまたも急上昇。
…そりゃニノと松潤は恋人同士だもん。
キスだってするし、それ以上のことだってする。よね。
…でも!なんでお店でそんなことしてんの?!!
さっきの相葉ちゃんの気まずそうな顔。
そんな顔されたらさ、俺もなんか…余計に意識しちゃうじゃん…
相「…ちゃん。」
意識…?
え?…てことは相葉ちゃん…
相「おーい?大ちゃん?」
「へ?なに?」(思わず裏返る声)
相「くふ。声。どしたの?(笑)驚かせちゃった?
水どうぞ。今更でごめんね?」
はい。と目の前に差し出されたグラス。中には透明な液体。
その先にあるのは…
いつものように優しく笑う相葉ちゃんだ。
…
……
相「あ…いらなかった?
来たとき汗かいてたから。喉乾いてるかなって。」
違った?と首を傾げつつ、俺の顔を覗く。
…
「違くない…。」けど…さ。
「…ありがとう。喉乾いてた…。」
少しだけ震えそうになる手を抑えて、相葉ちゃんの手からグラスを受け取った。
…
やっぱりだ…
…やっぱり俺だけ。
ちょっとのことでドキドキしたり、焦っちゃったり…やっぱり俺だけだ。
ちゃぷん。とグラスの中の液体が揺れる。
「嬉しい。」って言ってくれたのは本心だと思う。それに…あんな…キスしてくれるくらいだから、すき でいてくれてるんだろうなっていうのは、何となく伝わってくる。けど…
…でも
会うたびに思う。
…俺の すきと相葉ちゃんの すきは違うんじゃないかなって…
俺の気持ちって重いのかなって…
…そうだよ。
俺が会いたくて来ちゃったけど…こんなの家まで送って。って言ってるようなもんじゃん。
もう…相葉ちゃんからバイバイされたのに、それでも勝手に会いに来たのは俺だ。
相葉ちゃんは今日の午後にはまた仕事。もう直ぐにでも帰って休みたいはずだ…
…ほんと何やってんだろう……
俺、ただの自己中…じゃん。
…
喉の、乾きなんてどうでもいい。
…でも相葉ちゃんが、入れてくれた水をそのまま返すのも嫌で、ごくっ。と無理矢理喉に流し込んだ。
相「そろそろ大丈夫かなぁ?」
ぐ~ん。と伸びをした相葉ちゃん。
と、同時に
カチャ…
お店の奥でドアの開く音が聴こえた。