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きみがすき

第3章 *ニ*

*櫻井*




「あのね。」と智くんが話を始めた。

大「昨日ね、久しぶりに仕事が早く終わったから、彼女とご飯に行こうって待ち合わせをしたの。あ、彼女とは大学時代からだから、翔くんも知ってる人なんだけどね。」
と、二宮くんへ説明を付け加えながら、ゆっくりゆっくりと言葉を選びながら話す。

「でね、会ったとき、元気ないかなって思ったけど、ただ仕事で疲れてんのかなくらいしか思わなくてさ、そしたらさ、彼女から、好きな人ができたって言われたんだよね。」

ここまで話すと智くんは大きく息を吐き、「俺、振られちゃったの。」と眉毛を下げて笑った。

そして、目を伏せた。




智くんの彼女は、俺とも同級生だから、もちろん知っている。大学時代は智くんのことを相談されたこともある。可愛らしい子だった。穏やかで、智くんと上手くいったらいいなって素直に思った。付き合ってからは、ダブルデートなんかして遊んだこともあったっけ。

ただ、正直、まだその子と続いてたんだと少し驚いた。
や、俺にとって智くんは一番の友達だし、智くんだってそう思ってくれてると自信がある。
でも、智くんの恋愛話ってレア中のレアなのよ。話したがらないから、話題にする事もなくなったってこと。


そんな智くんの振られた話。
でもね、智くん。
それだけじゃないよね。


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