きみがすき
第29章 *ろく*
大「この間、仕事中にニノがね~…」
目の前には、ふふ。と笑いながら刺身の鯛を食べる智くん。
だいぶ元気にはなった。
眉毛も上がったし。
…けどなぁ
『なんか友達と約束してるって、相葉さんとは帰らなかったんだよね。』
先日、ニノと飲みに行った時に聞いた話だ。
約束…
あるわけがない。
あんな嬉しそうに相葉くんに会いに行ったくらいだ。例え友達から連絡があったとしても断るだろ。
大「そういえば、駅前にラーメン屋さんできたよね。美味しいのかな?」
「俺食ったけど、すぐ潰れるな。あれは。」
大「……翔くんが言うと当たるから怖いよ。」
…うーん。
この2人。上手くいってるようで…なんかなー。
2人して、気遣いしまくってる感じだもんね。
ま、付き合いたてってこんな感じなんかな。それも恋愛の醍醐味っつー事で、徐々に素が出せるようになれば良いんだが。
素…出したら出したで、このおっさん。どうなるか知らないけど。
友達に対してもこれじゃ…相葉くんに対しては……あんな、無意識にデレデレな顔しちゃうくらいだもんな。
つーか…
なんでこんなに人の色恋沙汰、真剣に考えてんだ?俺だってこれから新居探したり、式場見つけたりで忙しいんだよ。
大「ユミちゃんは元気?」
「へ?あ、ユミ?あぁ元気だよ。煩いくらいにな。」
大「ふふ。そっか。また会いたいなぁ。」
「そんなこと言ったら、ユミ 飛んで喜ぶんじゃね。智くんの事、大すきだから。」
ユミ。は俺の婚約者だ。
智くんとも何度か会っている。
大「んふふ。」
なんだその笑いは。
大「翔くん。変わったよね。」
…
「実は、俺も鍛えてんだよね。」
大「嘘つけ。翔くんちょっと太ったよ?」
ギクリ。
なんつって。
「色々大変なのよ。気苦労が。仕事に智くんに、家の事。で智くん。そして智くん。ついでに智くん。俺のストレス発散は、不味いラーメン食うことくらいだ。」
大「禿げないと良いね。」
「ちょっとは、気を遣え。」
大「あはは。ありがとう翔くん。」
全然悪気ない様に、にっこりと綺麗に笑う。
「はいはい。どーも。
お礼言う気持ちがあるなら、早く貴方の恋人とも……」
…
…恋人?
大「? 翔くんどうしたの?
変顔してるの?」
…
……
ぁ…それって…