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きみがすき

第3章 *ニ*

*大野*




俺が泣く資格なんて無いのに、彼女に失礼だって思うのに、あふれてしまった涙はとめることができない。

「…彼女と別れられるって思って安心したの、俺。最低でしょ。
彼女のこと好きだったんじゃなくて、好きになろうとしてただけなんだってわかったの。6年間も付き合ってて、こんな酷い話ないよね…。」

翔くんやニノが、今、俺をどんな顔で見ているのか、恐くて顔があげられない。きっとこんな俺だってわかって嫌われたかもしれない。

でも話さなきゃ、ここで終わりにしちゃダメだ。

「…最近はもう、俺を好きでいてくれる彼女の気持ちに答えなきゃ、大切にしなきゃっていう気持ちだけだったんだなって、…ずっと心のどこかでは、別れたいって思ってたんだと思う。」

そんな気持ちだったから、無意識のうちに態度に出て、彼女をずっと苦しめて、嘘までつかせてしまった。
彼女が泣いている姿をみて、今までしてきた行動が、どんなに彼女を傷つけていたか、間違っていたか、やっと俺は気がついた。


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