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きみがすき

第30章 *なな*



店のopen時間まで、あと30分弱。
すっかり手慣れたもんで、新メニューどうこうなければ、そんなに早く店に来なくても時間に余裕さえ出てきた。

んで、最近はclose後の仕込みも、open前に済ませられる物は済ますようになって、帰りも片付けメインで早く帰れる時も多くなった。

ま、言っても深夜には変わりないけどな。


で、今日は特に余裕があった。
だから、普段はしない話を振ってみたんだ。

「なぁ。」


相「なにー?」
あ、もちろん雅紀もやることは終わってる。

テーブル備品のセッティングを直しながら雅紀が俺を見る。
意外とこーいうとこ几帳面。

「雅紀達ってさ。」


相「俺と大ちゃん?」


「そう。
あれ以来、泊まった?」


相「え?泊り?ううん。ないけど…。どしたの急に?」

だよな。

「いや、もう泊まってる仲なら雅紀が休みの日以外でも、会えんじゃないかなって思ってさ。」

俺とかずは、泊まるようになってからは休みに関係無く、以前より格段に会える回数は増えた。

「合鍵渡しとけば、大野さんが雅紀の家で待ってたりもできんじゃないかなって。」


相「…あー…」
手を止めて、考えるように声を出した雅紀。

相「…潤とニノはそうしてるの?」


「うん。頻繁にじゃないけど、会えない時はわりと。」


相「ふぅん。」

? なんだその反応。

「合鍵渡すとかあんまり気が進まない?」


相「え?んーん。そういう訳じゃないんだけど。いや、んー…?どうかな?…う~ん…」


「? なに?」


相「いや…ふふ。なんでもなーい。
参考にさせてもらうね。ありがと。」

悩んでたと思ったら、ふふ。と笑うし…
訳がわからん。

なーんか、やっぱり変なんだよなぁ…
何処が?って言われたら…時々見せる表情だったり、言動?になるんだろうけど
だからってスゴく変な訳じゃないし…
明らかに落ち込んだり、不安そうな素振りはない。


結構…雅紀は秘密主義つーのかな。
あえて言わない。ってよりも自然とそうなっているって言うのが正しいのか…

まぁそこにあるのは、決まって雅紀の優しさや、きっと愛情かなって…

でもさ
自然に自分の中に留めちゃうからこそ、相手が不安になることもあるんだからな。

ねー?大野さん。

なんてな。
大野さんがどう思ってるか俺は知らねーけど。

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