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きみがすき

第30章 *なな*

*二宮*




小「智さん。今大丈夫ですか?」


大「んーと…はい。いいよ。どうした?」


小「このデータ、一緒に確認して貰いたいんですけど、良いですか?」


大「どれ?…あぁこれね。1人でやるの大変だよね。いいよ。」

…そうか、今日は滝田さん(小林の指導者)外回りで不在か。

小「あざっす。2回確認したんですけど、ちょっと不安なんで、よろしくお願いします。」


大「2回も1人でやったの?はぁー頑張ったね。」


小「でしょ?だから、いい加減ご褒美下さいよ。」


大「ご褒美?」


小「飲みいきましょ?」


大「この間行ったばっかじゃん。」


小「だってあれは飲んでない。先輩が飲まないのに後輩が飲むわけいかないし。酒が入るからこそ楽しい話ができるんじゃないですかー?」
ぶーぶーと文句口調で智さんに話す奴。

大「でも俺、今…」
そうっ言って智さんは、チラッと俺を見た。

ええ。バッチリ聞こえてますよ2人の会話は。
なんせ俺の席の目の前でこんなやり取りしてたら、嫌でも耳に入るわ。

大「…てか、喋ってないで仕事しよ。
ほら、俺がこっち読み上げるから、小林くんは目視で確認してって。」


小「…ちぇ…はーい。」

俺の真顔の無言に何かを感じたのか、困ったように笑って仕事に戻っていった智さん。



…と、言うかさ。
行ったんだよ。この2人。

信じられる?
あれだけ注意したのに、さらっと、さらーっと飲み…じゃないか、飯に行ったんだよ。
いやどっちにしろだ。

まぁ?何も無かったのは、この2人の様子から見れば明らかだけど…
でもだからって2人飲みはアウト。一万歩譲って飯は許しても、飲みは絶対アウトだ。


にしても小林の無駄なフレンドリーさ。
これで仕事もおざなりにしてたら、まじであり得ないけど。
こいつ仕事はちゃんとするんだよね。
しかも丁寧に、できる系だ。

と、そんな事をモンモンと考えていたら

目の前のデスクに座った小林と目が合った。

小「…」


「……」


小「……フッ…」

!?

今、鼻で笑いやがったなこいつ!
はーらーたーつー!!

智さん!やっぱり俺こいつなんかヤダ!

禁酒継続!

大「おい。やるぞ?」


小「あ、はーい♪」

いつの間か、とばっちりを食らっているとは露知らず。智さんは、小林の隣で黙々と仕事をこなしていた。

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