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きみがすき

第30章 *なな*

*大野*




20:45

「お先。お疲れー。」


「あ、お疲れ様です。」
俺はそう返してから、腕を挙げて ぐい。と伸びをした。

ボチボチ帰宅していく時間だ。
これが平常。この時間がね。
翔くんも言ってたけど…問題だよね。

滝田「大野さん。帰りますか?…あの少しだけ時間大丈夫ですか?」

ん?と見れば
今年度から席が隣になった滝田くん。
入社したのは俺の2つ後だから、ちょこっと後輩になる。

「大丈夫だよ。まだまだやってくつもりだし。」


滝「まじすか?…逆にすいません。
あの…さらっとでいいんで、大野さんから見て小林くんってどうですか?仕事面とかそれ以外でも良いんですけど…」

…あーそっか。
滝田くんは小林くんの指導者だ。
んでもって、そろそろ新人の最初の評価時期。

この会社は
入社して半年経つまでは、新人はまだ仮入社扱いになっている。つっても、ちゃんと給料は出るし有休もボーナスも貰える。

ただ入社して半年までに辞めていく新人が多く、その事もあって1人とカウントはせず、0.5人扱いになっている。
業務も半年はフルで持たせない分、残業させないのが鉄則だ。

ので、小林くんは既に退社後だ。

「そうだね…
小林くんは、教えた事はちゃんとメモするし、覚えも早いね。それに手助けが欲しいときは自分から声を掛けることもできるし。あ、ただ…」


滝「ただ?」


「少し丁寧過ぎかなって。勿論大切なことなんだけどね。これから繁忙期に入ると新人も沢山の業務持つから、1人で何度も確認したり、調べたりをやってると辛くなるかも。
調べるのは勉強だけど、内容によって聞けば済む事もあるし、早目に確認作業なり頼めるようになると、基本が出来てる小林くんならもっと効率的になるかなって。」


滝「…なるほど。今はそんな仕事量無いから良いけど、今後の事を考えると。ってことか…
気を付けて見てみます。ありがとうございます。」


「ううん。参考になれば。」


滝「いえ助かりす。俺、指導者初めてで、自分の仕事しながら見たり指導すんのって難しくて…」


「だよねぇ。俺もそうだったよ。」
と、斜め前に視線を上げると、丁度デスクに戻ってきたニノと目が合う。

ニ「? 何ですか?」


「滝田くん。二宮にも聞いてみたら?小林くんのこと良く見てるからさ。」
なんて言ってやった。

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