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きみがすき

第30章 *なな*



来年度には、ニノも指導者になるんかな。

ふふ。なんか楽しみだ。


あの後すぐ、滝田くんは奥さんからの連絡があって慌てて帰っていった。
Sサイズのオムツ?この時間何処に売ってんの?なんて言いながら。

滝田くんは俺より若いけど既婚者。んでもって3ヶ月ほど前にお子さんが産まれたばかりだった。
絶対良いお父さんだよね。


と、

ニ「まだ、やってくの?」

やっぱりいつもよりテンションの低いニノの声。

聞こえてきた隣を見上げれば
鞄を持ち帰る準備を整えたニノ。

「うん。もう少しやってく。お疲れ。」


ニ「……」
俺のお疲れ。を無視して無言のまま、煌々と明るいパソコンを覗き込む。

「? 何?」


ニ「週始めだよ?
それってまだ期限先のヤツじゃない?」

…良くご存じで

「…あれ?そうだったかなぁ?」

なんてしらばっくれてみたけれども

ニ「智さん。何隠してんの?」


「え?別になにも…?」


ニ「じゃぁ何企んでんの?」

…いや、流石を通り越して怖いよ…
何?俺ってそんなわかりやすい?

ニ「わかりやすいよ。」


「え?!声出てた?今??」


ニ「吐け。なんでそんな仕事前倒ししてんの?」

でた。取り調べのニノさん…

「…」

まぁ別に隠すことじゃないし、別に企んでもないけど…


「来週の…水曜か木曜、休み取ろうかなって思ってさ。」


ニ「休み?あぁなんだそれでか。
ん…?水曜………」

あ、別に曜日まで言う必要なかった。
って思ったけど…

ニ「…あぁそういうこと。」
ニヤッ。とわかっちゃった。と笑ったニノの顔を見て後の祭だと悟る俺。

「ま、まだね!休み取れるか分かんないし、どっちか○○社との打ち合わせが入りそうだからもしかしたらどっちも駄目かも知んないし。念のためにやれる事は~…」

ニ「ちょっと待ってて智さん。」
見事に話を遮って携帯をいじり始めたニノ。

と、直ぐに

ブブっ。とデスクの上に置いてあった俺の携帯が揺れる。

ニ「俺のオススメです♪」
そう言って、にっこり笑った。

え?オススメ?
意味がわからず、恐る恐る携帯を確認すれば…



……へ?

そこには俗に言う

ローション。

がメールに画像添付されていて

《頑張って♪》
なんて応援メッセージまでご丁寧に付いてて



…俺の顔は赤くなったに違いない。

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