きみがすき
第32章 *きゅう*
『傷付いた』
…
……
そりゃ確かに…
もし俺が……潤くんに拒まれたら、すごく傷付く。
や…でも…
「それは潤くんの推測でしょ?」
松「そうだね。ただの推測だよ。」
「それに…もしそうだったとして…
今はその話は関係ないんじゃない…?」
ねぇ…そうでしょ?
松「……」
俺の腕を引く、潤くんの手。
いつもは優しい手が、今は少しだけ痛い。
そして、潤くんの顔…
そんな顔をするから
俺の胸まで、ざわざわしちゃうじゃん。
智さんの友達は…時々、智さんの方を向いて何かを話しかけ
智さんは、笑っているのかわからないけど、うんうん。と頷いてるのはわかる。
松「あの人、友達なのかな。」
やめてよ。
潤くんがそんなこと言うから
2人の歩いてく先には
ここら辺じゃちょっと有名な…ラブホ街があったな。とか
見れば見るほど
智さんの隣を歩く男の、智さんのその髪に触れ…肩に手を置く行動が
馴れ馴れしく見えてきて
いやいや…たまたまだよね。
違うよね?
松「大野さんてさ」
「…え?」
松「俺、周りなんて気にしない強い人だと思ったんだよね。自分持ってるっつーか、
でもさ、雅紀に振らてからのあの人見てさ、あーこの人すごく繊細で、本当はそんなに強くない人なんだなって思った。」
…
松「…そう思うとキツいな…」
…
……
そうか
sexってさ、お互いに想い合ってたら、想い合っているからこそ、その ほんの近くにある自然なことで
それが拒絶されたとき…
きっと振られるよりも
その衝撃は強いのかもしれない。
とあるホテルの前で止まった2人。
智さんの肩を抱いている手。
その手に
智さんは、何かを求めたの…?
…
……
…智さん
俺、嫌だよ
智さんのすきな人は相葉さんでしょ?
その人は違う人だよ
松「雅紀に中途半端なことしたら 俺なにするかわかんないよ。って。」
「……」
見上げたその顔は…怒っているような…でも…
松「でも俺さ、大野さんのこと 嫌いじゃないんだよな。
…だからもし俺の推測が当たってたら。
そんとき俺は、誰を殴り飛ばせばいいんだろうね。」
そんな…物騒な言葉とは裏腹に…
潤くんは俺に微笑んで
松「違いますように。」
2人のもとへ歩みを進めた。