テキストサイズ

きみがすき

第33章 *じゅう*

*二宮*






「でもさ智さん。
なにも別れることはなかったんじゃない?」

今は、帰り道。
隣を歩く智さん、その顔はほんの少しだけ店に入る前とは違う。

大「…んー」


「だって、あっちは過去じゃん。
なんで別れる必要があったの?」

すきな気持ちは変わってないでしょ?

大「…う~ん…プライド?かな。」
はは。と自嘲気味に笑う。

プライド…

大「俺ね。ニノが…その…思ったように、相葉ちゃんと…そうなりたいなとは思っててさ。
デートした日、あわよくば。ってね…。」
少し恥ずかしそうに言った智さん。

大「でもね。拒まれるんじゃないかなっていうのも何となく感じててさ…
心の準備はしてたつもりだったんだけど、考えてたのと、実際に できない。って言われるのじゃ全然違くて、結構…まぁ…かなりショックだったんだよね。」
シュン…と背中が更に丸まっていく。

「智さん…」


大「気持ちを話てくれた後ね、待ってて欲しい。って言ってくれたんだ。
…けど、俺もう待つのは嫌だって言った。
《恋人》っていう肩書きが無くなったとしても、それでも俺が良いって…言って欲しい。
……ふふ。俺 何言ってんだろうね。」



……

あぁ…きっと…
…その裏には相葉さんの足枷にはなりたくない。なんて思いも含まれているんだろうな…


「お人好し。」


大「……」


「…でも、俺はそんな智さんがすきだけどね。」


大「…ニノ」


「もしよ?もし辛いことがあったら俺が慰めてあげるよ。特別に。潤くんにも内緒でね。」


大「ぇ?…………
くふ…ありがとう。俺もニノがすきだよ。」
ふにゃん。と。

「…はぁぁ…」


大「幸せが逃げるよ?」


「なにそれ……って!そうだ!智さんさ、なんでラブホ街にいたの?」

聞きそびれてた。

大「…え?あー…イチを釣具屋に連れてってあげようと思って。したら今日休みでさ。シャッター閉まってた所あったでしょ?あそこ。不定休で変わり者のおっちゃんがやってるんだけどさぁ…」

「は?そんなオチ?!」


大「? オチって?」



なんだよそれ!
…まぁ…良かったけれども!

「はぁぁぁぁ…」


大「あ、ほら幸せが…」
「うるさいよ!」


大「え?えー??」


隣でブーブー言う智さんをあしらいつつ、俺は前を歩く2人の背中に視線を移した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ