きみがすき
第34章 *じゅういち*
…俺、何か嬉しくなるようなこと言ったか?
小「二宮さんに きらわれてるのかと思ったから…。」
そう言って、また良かった。と笑った。
良かったって…
てかそもそも そう思わせるほど俺と関わってなくない?
小「ビール頼みます?」
そして、すっきりしたように聞いてくる。
「…いい。」
小「もう飲まないんですか?」
「俺、一旦抜けるわ。」
智さんが帰ってくる前に、お開きにしちゃおうと思ってたけど。
…なんかここに居るのは良くない気がしてきた。
やっぱり俺、慣れない人と2人キリは無理だ。
小「え?」
「智さん。帰ってきたらまた合流するよ。」
テーブルの諭吉はそのままに、俺は立ち上がろうとした。
けど…
!
ぐっ。と動けなくなった体。
小「待ってください。」
見れば、俺の左腕を掴む手。
っ…
そこから一瞬で全身に鳥肌が立つ。
「…離せ。」
感情を抑えたつもりだけど
低く…低く口から出た。
小「え…ぁ…すいません!」
手は、直ぐに腕から離れてはいった。
けど…
小「あの…智さん、別れたって本当ですか?」
…
……やっぱりこいつ。智さん狙いか。
どうする?相葉さんとは実際別れてて、フリーっちゃフリー。
「…小林には関係ない。」
でも結局、咄嗟に出たのはこんな言葉。
小「…その言い方…
やっぱり智さんの恋人って二宮さんだったんですね。」
…ん?
……はい?
小「…未練があるんですか?」
…
あー…
「ふっ…」
小「え?」
とんだ呆れた勘違い。
「なんでそーなったか知らないけど、智さんのすきな人は俺じゃないし。俺のすきな人は他にいて智さんじゃない。」
小「…ぇ……二宮さん…今付き合ってる人いるんですか?」
は?俺のことはどーでもいいだろ。
「それこそお前に関係ない。」
小「いるんだ…。やっと別れたと思ったのにな。」
「?なに?」
小「二宮さん。」
「?」
小「俺…」
小林が顔上げて俺を見る。
何故かその時、俺はふと…。
小林の顔をちゃんと見たのはこれが初めてだ。と気が付いたのと。
そー言えば女子社員が「小林くん 格好いい。」なんて言ってたっけか、なんてどーでも良いことを思い出した。
そんな俺の耳に
小「俺、二宮さんがすきです。」
そんな声が届いた。