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きみがすき

第34章 *じゅういち*



こういうのって何て言うんだっけ

寝耳に水?
青天の霹靂?


「……へ?」
俺は、ここ数年で1番間抜けな声を出してしまった。



……え?え?
…いや、落ち着け俺。
きっとこれはただの冗談。
だって今までそんな素振り一切なかったじゃん。
そうだよ。うん。

だから俺は「ふざけるなよ」って言おうとした。けれど…

じっ。と俺を見たままの小林の顔は真っ赤で
「っ…」
言えなくなった。



…マジってやつ?
じゃぁ俺、小林は智さんがすきだと勝手に思い込んでた呆れた勘違いヤローだったってこと?



小「すきです。」

そして、俺の耳にまた届いたシンプルなフレーズ

「!……
っだっ…だってお前…智さんは?あんなに誘ってたじゃん!」


小「俺、すきな人にガツガツ行けるほど、神経図太くないですよ。
それに二宮さん、いっつも智さん智さんで。だから俺てっきり付き合ってんかと思ってたし。」



小「でも、それでも諦めきれなくて…。

俺が智さんと話すと、二宮さんが見てる事に気がついて。気持ちはどうあれ、二宮さんの視界に入れることが俺 嬉しくて。」
そう言ってはにかむ。



……

「…智さんは?知ってんの?」

小林は、少し笑って首を振って
「さあ?薄々?
俺、今日 智さんには言おうと思ってたんです。二宮さんがすきなんです。って。
少し前に、智さんが彼女と別れたみたいよって女の子達が言ってたから…今かなって。」と、さっきまで智さんが座っていた席を見た。


性別は違えど、女子社員の情報網…どっから調べてくんだよ…。


………

違う。今はそれを考えてる時じゃない。

ドキドキと速くなっている俺の心臓。

きっとこれは、告白される事に慣れてないから…
そうだよ、俺の答えは決まってる。

「俺…」
小「二宮さん。」

スッ。と遮られた言葉。

「…」


小「二宮さんのお相手は、男ですよね。」


「………だったら何?」


小「やっぱり。
それに、なんか腑に落ちなかったんです。二宮さんの相手が智さんって。」


「…どういうこと?」


小「だって智さん。こっちの人じゃないから。」

こっち…

小「二宮さんは…」



あー…

小「俺と同じ、こっちの人間ですもんね。」



やっぱり俺
こいつ苦手だ…

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