テキストサイズ

きみがすき

第34章 *じゅういち*



「っ…!」

突然 手に受けた衝撃


一瞬、何が起こったかわからなくて…
体勢を崩した俺はパシャン。と濡れた地面に尻餅を付いた。

もう片方の手からは傘が落ち
遮るものが無くなった俺達は…また雨の中。


「…」

ザァザァ。
変わらず降り続ける雨


でも、さっきと変わったのは

目が合ったこと。


ニノは、俺を見てみるみる その瞳を大きくする。

ニ「……さ としさん……」

いまだにピリピリと痛みが残る手
ということは、ニノの手も痛かったんじゃないかなって…
それくらい…俺はニノにしてはいけない嫌なことをしちゃったんだ…

だから

「ごめん」

謝ったんだ。



ニ「っ違う…!」


「え?」


ニ「……俺が…おれ…が……
ごめ…んなさい……」

…なのに逆に謝られて
そしてニノの顔は どんどん曇ってって

ニ「……なんも…変わってない……」


また殻に籠るように、膝を抱えてしまった。




……

何…?何が変わってないの?
なんで…そんな顔すんの…?



……

ニノの様子が明らかに変なのは分かるのに…
俺は…ぎゅ。と固く瞳を閉じてしまったニノを見てるしかできなかった。



.

それはとても小さい声だった

ニ「………く ん…」



ニ「…じゅ… くん…」


…じゅく?

…ぁ
潤くん?!

松潤だ!


尻餅を付いたままだった俺は、慌てて側に転がってた鞄から携帯を取り出し画面を起動させる。

目に入ったのは、小林くんからの何件もの不在着信……もしかして ニノを探してる?
…でも今は、小林くんよりも松潤で。ごめん。と心の中で謝って、松潤の番号をさが…

……いや俺、松潤の番号知らないじゃん!
今更気がついて、でも今のニノには聞くに聞けないし、此処を離れるのも…


……

一瞬。少しだけ悩んで…俺は相葉ちゃんの番号をタップした。



プルルル…プルルル…

さっき見たディスプレイの時計は21:00前。
忙しい時間に違いない。



でも…お願い。


プル…っ
「あ!もしも…」

『留守番電話サービスに〜…』


あーもう!

プッ。
1度電話を切った俺は、また発信ボタンに指をかける


と、

「わっ…あ…」

ブルル…
と震えだした携帯

俺は、ディスプレイに表示された名前を見て、迷わず通話ボタンを押した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ