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きみがすき

第34章 *じゅういち*



取り敢えずの
「はい。タオル。」
俺は持ってきたバスタオルを智くんに渡した。

大「あ、ありがとう……あのさ…」

わかってる。と軽く手を上げて言葉を制す。


智くんの電話の内容と今の状況を見ると
ニノは…自分の中に引きこもってる。



「小林って奴になんかされたんじゃないの?」

ニノから少し離れて問えば

大「あ、翔くん来る前に小林くんに連絡したんだけど。
なんか色々話してたらニノの顔色が悪くなったみたいで…心配した小林くんがニノに触れようとしたみたい。そしたら俺みたいに払い除けられて、ニノはお店を出てっちゃったって言ってた。」


「色々っつーのは?」


大「…言えないって」

はぁ?

ニノの個人的な事を探る気はないが…
そこがきっと引き金だろ?

「信じんの?」


大「うん。嘘つく人じゃないと思う。」

や、嘘っつーか…
……ま。俺はそいつ知らないし、智くんがそういうなら


となると
「松本くんは?」


大「相葉ちゃんに 何回かかけたけど やっぱり今は出れないみたいで…」

…う~ん
そろそろ一段落つく時間でもありそうだけど…こればっかりはな。接客中に携帯弄ってたら寧ろ嫌だし。


ん?
「つーか店の電話があんじゃねーの?」


大「ぅ…」
途端、その目を泳がせ始めたおっさん

……

いやいやいや、嘘だろ?
「知らないわけないよね?」

今の御時世、検索すればいくらでも出てくる店の情報。

大「…お店の名前。知らなかったなって」
ぽつん。と



……

おーい。聞いたか相葉雅紀。
この恋人。こんなこと言ってるぞ。

「…」
そんな智くんへは呆れた眼差しは向けといて、ま、それでも検索しようはいくらでもあるけど…それより、まずはこっちか。


夏と言えど、びしょ濡れの2人
流石にこのままは風邪引く。

店…は、こんなびしょ濡れの2人を連れてったとしても、着替えがあるかもわからない…



やっぱ、こっから近い俺の家かぁ
風呂場。綺麗にしといて良かったよ。ったく。


「ニノ。俺んち行くよ。」


大「え?…でもニノは…」


「わかってる。その為に持ってきたんだよ。」

そう、きっと今のニノは人の手がより怖いんだろ?なら直接触れない様にすれば、いけるかなって


小さく縮こまっているニノ。
俺はそのニノを包み込むように毛布を掛けた。

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