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きみがすき

第35章 *じゅうに*



バクバク。と

いまだに大野さんが突如現れた衝撃は、残ったまま。
俺…あーゆういきなり的な、なんつーか背後を取られる的なの駄目なんだよ。

前世は背中を刺されるかなんかしたんじゃ。って…それくらいゾワゾワしちゃって…


まぁ…そんなの大野さんが知るよしもなければ、教える気もないけど…

ってそうじゃなくて。

「? 大野さん?」


大「俺の事はいい。あのね…」

「良くないよ。
震えてんじゃん。」
それに…薄明かりで良く見えないけど、顔色も良くなさそうだ。

大「大丈夫。ちょっと雨に打たれただけで。
松潤あのね…」


松「良くねーだろ。このままにしてたら体壊すよ?タオル持ってくるから中入って。」

確か休憩室にヒーターが置いたまま。着替えは…



と、扉を開けようとした俺の腕を
また ぐっ。と冷たい手が掴み引き留める。

「?」
なんで止める?と振り返れば


今度は、店の窓から漏れた灯りではっきり見えた

それは
へろっと眉毛の下がった顔。



……

あ…そか…
店には、雅紀がいる

そりゃ…今の2人が会うって…………



て!っんなこと言ってる場合か!!


「大野さん。気持ちはわからないでもない。
けど、俺は大野さんの体が心配だ。
だから入るよ。」


大「…あ」

何かを言おうとしたのか
けど俺はその前に、今度は俺が大野さんの腕を掴んで、扉の取っ手を引いた。


っカラン。

扉の鐘の心地よい音。
俺は この音がとても気に入っている。


「雅紀ー!悪い!タオル持ってきて!」
入るなり、俺は店の奥目掛けて声を掛けた。


相「…え?タオルー?はーい。」
そう、奥から返ってきた返事。

大「っ…」


そして直ぐに
相「はい。持ってきたよ。どうした…」

タオルを持ってフロアに出てきた雅紀は、すぐに大野さんに気が付いて

相「……ぇ………大ちゃん…?」
その瞳を大きく見開いた


「雅紀…」
相「っ大ちゃん!どうしたの?!なんでこんなに濡れて…雨!??
わっ冷たい…!ガタガタしてるじゃん!顔色も悪い…早くこっち!」

大「っわ…」


…雅紀は、大野さんを見つけると一目散に駆け寄って、そんでもってものすごい早さで喋って、ポカンとしてる大野さんの手を取り

休憩室使うよ!と俺に言いつつ嵐のように連れ去っていった。




ええー?

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