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きみがすき

第36章 *じゅうさん*



…あ
今 俺…思いっきり顔逸らしちゃった…


もうずっとずっと前からドキドキしっぱなしの心臓。最早 何に、どれに、ドキドキしているかもわからない。
いつの間にか ぎゅっ。と握っていた両手には、見なくてもわかるくらいに汗が滲んでいる。


…どうしよう
すごい失礼なことした…

…でも
ぐるぐると頭の中を回転させてみても
相葉ちゃんが怒るような、あんな顔をさせるような事をした覚えは…


ふぅ…と
頭の上から聞こえた小さな息



……

心当たりがあった。


相「大ちゃん、顔。あげてよ。」

聞こえた声は、予想外に優しくて

「相葉ちゃん…怒ってる?」

俺は下を向いたままだったけど、そう、聞くことができた。


相「………うん。怒ってるよ。」


やっぱり


俺の腕を掴む手は、さっきほどの強さは無いものの逃がさないとばかりにがっちりと硬い。


相「自覚、あったんだね。」
急に下がった声のトーン。




……ちゃんと謝らなきゃ。


ゆっくりとだけど、俺は顔を上げる。

そこにいる、すぐそこにいる
大すきな人。

そんな顔 させたのは俺なんだね。


「ごめんなさい。」


相「…」


「本心じゃない。
俺、あの時焦ってて…つい口から出ちゃって…だから…本気で思ったわけじゃない。」


相「…ん?」


「酷いこと言ってごめん。直ぐに謝るべきだったね。」


相「??」


「ごめんなさい。」


相「ちょっとストップ。何の話?」


「何って………さっき相葉ちゃんのこと『うるさい、邪魔』って言っちゃった話…だけど………」


相「……」


「?」



ゴスっ!!

「いったっ!!」

なんて声をあげちゃったのは、相葉ちゃんのチョップが俺のおでこに落ちてきたから

って!なんで?!


相「大ちゃん…ほんとーーーーにそれだと思ったの?俺が怒ってる理由。」

痛いよ…。と見上げた相葉ちゃんの顔は
心底呆れたような…心底信じらんない。と愕然とした様な顔をしていた。



……

「え?違うの??………わっ」

と、おでこに今度触れたのは、相葉ちゃんの大きな手。
その手は、余裕で俺のおでこを覆う。


相「あー…いいや。…いや良くないけど。
その前に、ごめん。本気でびっくりして強めのババチョップしちゃった。」

と謝られた。

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