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きみがすき

第39章 *えんどろーる*



時間が無いことを恨めしく思いつつも
大ちゃんを送るべく俺の車へと乗り込んだ。


その道すがら
これから仕事へ行く大ちゃんに、今更だけど少しでも休んで貰いたくて「寝ててね。」と声をかけた。


けれど

大「ううん。起きてる。」
と、赤い瞳が俺を見て
そして意味ありげに俺を覗き込んできた。


その瞳にはもうあの時の、揺れはなくて



……

…あぁそっか。

お互いの想い。いや、この場合、俺の大ちゃんへの すき という気持ちを伝えられたことで、きっと大ちゃんの中の不安はなくなった。のだと烏滸がましくも、そう感じた。


それならば。とハンドルを握りながらにはなってしまうけれど、俺は迷いなく彼女の話を始めたんだ。





そして、冒頭に戻って。


さっきまでの事を考えると、出来る限りもう大ちゃんを不安にさせたくなんかなくて
何から話すべきかを考えた結果。

彼女の気持ちは俺には全くない。

という事を、まず始めに伝えるべきだなと。
少なからず、気にしてしまってるんじゃないかな。と思ったからだ。


それで
彼女には結婚を考えている人がいる。って事を伝えたわけ。



『そうだったんだ。』
と小さく呟いた後、黙ってしまった大ちゃん。
何を思ってる?と気になり、赤信号でブレーキを踏むと同じく横を見れば


ぱちっ。と目が合って


大「?」



大「なに?」


その顔は……


きょとん。



……

「ぶはっ!!」


大「!?」


「っあはっ!くふふふふっ!」


大「………ぅわ………怖ぁ…なに…?」

大ちゃんは、急に笑い始めてしまった俺にドン引きした様に顔をしかめちゃって


でも
「ふっふふふ…」止めらんない。

だってー

だってさぁ

あぁもう

大ちゃんって、最っ高!!



「くふふふふ………はぁぁ…ねぇ大ちゃん?」

俺は、なーんとか笑いを堪えつつ

大「…なにぃ?怖いよ相葉ちゃん…。」


「何思ってたの?彼女が結婚するって聞いて。」

そう訊けば

大「え?…なにってー…へぇそうなんだって。思ったけど?それがなに?」


「くふ。」
やっぱり。と笑う俺に

大「…ねぇ大丈夫?」
大ちゃんは不信そうに首を傾げてしまった。




この話は もう必要ないってね。

そうだね。
彼女とは、綺麗さっぱり終ったのだから。




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