きみがすき
第39章 *えんどろーる*
きっと
大ちゃんの中では『彼女』という存在に感心?興味?っていうのかな、それがなくなったんだ。
そりゃそうか
会ったことも見たこともない『彼女』だ。
話を聞いてよ。って方が可笑しかったのかもしれない。
でもさ。
それってさ。そうなれたのは…
大ちゃんと俺の気持ちが また同じ方向を見て
想いが通じ合えたから
だと思うんだ。
『彼女のとこなんて行かないでよ』
震えてた儚い声。
苦しいくらいに胸を打たれた。
すき。と伝えたけれど、バタバタと今に至ってしまって、俺の気持ちは大ちゃんにしかないって、ちゃんと届いたのだろうか……と心配だった。
けど、伝わったってことでいいんだよね?
…
……
違う違う。
だから、それじゃ駄目なんだって。
ぱっ。
と目の前の信号が変わり、アクセルを踏み込む。
俺は
「俺がすきなのは大ちゃんだけだよ。それはずっと変わってないし、変わらないからね。」
本当は、ちゃんと向き合って言いたかったけど…
大「……急に…」
ホントだね。でも
「ちゃんと伝わってるかなって。」
ついさっきは、俺を不審者でも見るような眼差しだった大ちゃん。
今は、どんな顔してるのかな
見れなかったけど
大「…うん。ちゃんと伝わってるよ。」
そんな穏やかな声が返ってきた。
よかった。
…
…あ
じゃぁ…俺の顔を覗き込んできたのは何の意味があったんだろう?
てっきり彼女との事かなって思っちゃってたけど…
…
……
う~ん…
わかんない。
だから
「ね…」
大「ねぇ相葉ちゃん。」
!
わかんないなら訊けばいい。そう思って、でも
つん。と俺のTシャツの袖が引かれると共に、掛けられた声に言葉を止めた。
大「相葉ちゃん?」
「あ…ごめん。なに?」
大「うん、あのさ…」
袖を掴んだままポツリ。
「? うん。」
なに…なんだろう?
こんな時に信号は青ばっかで、そんでもって交通量も増えてきてるもんだから
向くに向けなくて
大「ねぇ…」
…
ごくっ。
なんか良くわかんないけど、唾なんか大袈裟に飲み込んじゃって
そんな 俺の耳に届いたのは…
大「相葉ちゃんに
触っていい?」
「っ!」
そんな、考えもしてなかった台詞に
危うく事故りそうになっちゃったよ。