きみがすき
第39章 *えんどろーる*
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カッチ、カッチ。
ハザードを焚いた車を路肩に寄せ、ギッ。とサイドブレーキを引いた。
大ちゃんの家は、すぐそこだ。
大「送ってくれてありがとう。」
まだ少しだけ赤い瞳。腫れは少し引いたかな…。
「ううん。一晩中付き合わせちゃったし…」
結局、一睡もせずに仕事へ行くことになっちゃうのは大ちゃんで、やっぱり申し訳なくて
ごめんね。と言おうとしたけど
「、たっ」
ぴんっ。
とおでこにぶつかったのは大ちゃんの指。
大「相葉ちゃん。謝ったら?」
「…ぁ……怒る。」
大「ふふ。正解。良くできました。」
クシャ。と俺の髪を撫でた大ちゃんの…その顔は、ゆるゆるで…ほにゃんで…
…
それは寝てないせい?
それとも…俺だから?
大「ごめんね?おでこ痛かった?」
全然悪気はなそうな口調。
もうさ、自惚れていいよね。
俺だから。でしょ?
…あーぁ…
やっぱりマジで帰したくない。
…無理なのは百も承知だけどさ。
そして
大「必要な時間だったんだよ。」
だから謝らないで。と。
「…」
普段はね。童顔で華奢なせいもあってか、大ちゃんは年上な感じがしなくて
でも今、俺のおでこを撫でる大ちゃんは、なんだか大人っぽくて…格好良くて年上感ムンムンで、ドキドキする。
「ぅ…うん。そうだね。会えて、話せて良かった。」
ドギマギしながらも、そう言って笑えば
ふふ。と大ちゃんも笑って。
手が離れていった。
大「じゃ、俺もう行くね。」
シュル。とシートベルトを外した大ちゃんは、
俺から視線を外し、ドアに手を掛け…
ぐいっ!
大「っわわっ!」
頭よりも先に動いた手が、大ちゃんの腕を掴んで俺の方へと引いた。
時間がないのも百も承知。
けど…これだけは。と
「大ちゃん。俺と、付き合ってください。」
今度こそ目を見て伝えれば
大「………」
一瞬きょとん。とした瞳が俺を見てて、次に驚いたようにその瞳が開いて
そして…
ゆっくりと…胸元のシャツに手が伸びて
気がついた時には、さっきまで離れていた大ちゃんの顔が目の前で
こつん。
と、おでこがぶつかった。
「…ぁ……」
これって…
大「よろしく お願いします。相葉ちゃん。」
蕩けるような微笑がそこにあった。