きみがすき
第39章 *えんどろーる*
そして
大「えへへ。」
と、照れた笑いに変わる。
おでこ同士くっついてた距離は、少しだけ離れて
でも、まだ少し動けばぶつかる距離。
目の前の瞳は、キラキラと朝日を取り込んで宝石のようだと思った。
キス。したい。
けど今もし、キスをしてしまったら
欲を止められるかどうかの自信はグレーゾーン。
いや、限りなくブラックに近い。
と、
大「ねぇ」
「ん?」
大「キス。したい。」
!
一瞬、俺、声に出てた?と思ったけど
少しだけ口角を上げた唇から出てきたのは、おねだり口調。
リプレイの如く、ついさっきっから頭の中を駆け巡るフレーズが耳を擽った。
それは、まるで甘い甘い誘惑のようで
…
……
俺、なんか試されてる?
「…止めらんないよ?」
確認のため そう。忠告すれば
大「んー、じゃぁ今日はぁ…遅刻かなぁ?」
クスクス。と笑った顔はやっぱり可愛くて。
…
今日は休み。じゃ駄目かな。
なんつーことを、マジで考えてしまった。
まてまて
だがしかし…大ちゃんが困ることなんてしたくない。けれどもだけど…このままお預けも辛い……いやでもでもやっぱ社会人として、己の願望で遅刻させるなんて………
大「……もぉ…バカ真面目。」
「え?バカ…っん、」
ちゅ。と触れた唇。
その、下から押し当てるような
甘えるような
でも、強引なキス。
…
ヤバい…
痺れた
大ちゃんとは何度もキスはしてるけど
こんな積極的なキスは初めてで
はむはむ。と、開けて?とばかりに噛まれる俺の下唇。
主導権は完全に大ちゃんで、それに答えるように、口を開けば
ぺろん。
と前歯を舐められた。
「っ……ぁ…」
思わず出ちゃった声に、自分でもビックリで
でも
大「…んふ。ごちそーさま。」
と、弧を描いた大ちゃんの唇はあっさり離れていった。
「…………へ?…お、わり?」
大「うん。終わり。」
「へ?!」
俺は今、人生で1番間抜けな声を出しただろう。
大「時間ギレ。俺、今日は午前から抜けらんない会議あるから、遅刻できないんだよね。」
ごめんね。と両手を可愛くて合わせて、そんな事をしゃあしゃあと言ってのけた。