テキストサイズ

きみがすき

第4章 *サン*



目の前の光景に声が出ない。
それは、ゲームの罰ゲームで男同士でキスする、所謂ふざけたのとは違くて、
俺には極自然な行為に見えた。


唇を離した大野さん。んふっと満足そうに笑う。
そのまま櫻井さんに身を預けるように寄りかかった。

そんな大野さんを片手で支えた櫻井さん。もう片方の手は、口を覆う。

その指の隙間から、

…やられた。

かろうじて聞き取れる位の声が漏れた。



口を覆っていた手を目頭へ移動して、何かに耐えるような、苦しそうな表情。
ふぅっと息を吐いて、俺を見る。

櫻「見られちゃった。」と少しおどけた口調。
「智くん、酔うと誰にでも抱きついたり、キスしたりしちゃうんだよね。
あー!油断した!唇奪われちゃった。」
と、照れ笑いをし舌を出した。


「あ、あーそうなんですか。だから大野さん、普段はお酒飲まないんですね!皆ビックリしちゃいますね、これじゃ。」と笑って見せる。


笑えてるかな、俺。

だって櫻井さんの、さっきの表情って
大野さんを見つめる、その視線って


ただの友達、ですか?


ストーリーメニュー

TOPTOPへ