きみがすき
第4章 *サン*
櫻「おーい、起きてー。」
ポンポンと大野さんの背中を叩く。
こりゃタクシーかなぁと櫻井さんが、俺を見る。
「あ、じゃぁ俺、タクシーとめてきます。」
もやもやする気持ちを切り替えて、大通りがある方向へ向かおうとした。
櫻「あ、二宮くん待って、俺がとめてくる。智くんよろしく。」
え?よろしくって?
櫻「ね、智くん。あそこにニノがいるよ。」
と俺を見て櫻井さんが、にやっとする。
え?まさか…ね。
大「んー。ニノ?」
ほらそこに、大好きなニノがいるよ。と尚も大野さんへ言い聞かせて、俺の方に大野さんを向ける。
バチっと目が合った。
途端に「ニノだぁ」とふわりと笑う。
あぁ…駄目だよ。大野さん。その笑顔は。
大野さんの、その目に、その笑顔に捕らえられて動けなくなった。
そんな俺なんて無視して。
あっという間に俺の目の前には大野さん。
大野さんの長くて綺麗な指が、俺の首を掠めたと思ったら、きゅうっと抱きついてきた。
櫻井さんはと言うと、俺に"おてあげ"と、両手を挙げて、にこりと笑顔を残して大通りがある方へ去っていった。
待って!!
と、状況についていけない、俺の心の声は誰かに聞こえただろうか。