きみがすき
第5章 *ヨン*
予想もしなかった質問に、思わず考えこんだ。
何も答えない俺の態度に、潤くんは、それをYESと取ったのか、
松「…俺は、かずが、あの大野って人を好きだとしても、女を好きだろうと、
俺の気持ちは変わらないし、諦めないから。」
それだけは覚えておいて。
と、今度は俺の顔を、目をしっかりと見て、
気持ちを伝えてくれた。
「潤…くん。」
潤くんの、長い睫毛が揺れる。少し潤んだ、けど、力強く真っ直ぐ俺を見てくれる視線から目が離せない。
松「好きだよ。かず。」
と、ふっと優しく笑って、その大きな手を俺の頭にのせた。
松「またいつでも来てよ。」
と、俺の話も、返事も何も聞かずに、
店の中に消えていった。
潤くんに言われた2回目の『好きだ』。
俺は、その場から暫く動けなくて、
顔が沸騰するんじゃないかってくらい熱くて、
今が夜で、暗くてよかったって、心の底から思った。