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きみがすき

第6章 *ゴ*

*大野*




二「だぁ!忙しい!
おーのさん!俺、もうダメかも!」

ごちゃごちゃになってる机に
二宮が突っ伏した。

「腐らないの。
ほら、資料がシワになってる。」

二「だぁって、やってもやっても終わらないですもん。」

机に伏せたまま、隣の俺を見上げる。
二宮が弱音を吐くなんて珍しい。
あー目が充血してんじゃん。
顔色も悪い。


限界かな。


****

あれから、俺たちの会社ってか、
特に二宮と俺の仕事は忙し時期に入った。
年末のイベント企画運営。
来年度に向けての予算編成。
年明けの企画立案など、など、など…。

家には帰れるものの、睡眠時間は
削られる。
俺、寝るの好きなんだけどな。
毎年のことながら、この時期はしんどい。


****


「二宮。今日は帰りな。」

ニ「…え…あ、大丈夫です!
すいません。大野さんの方が大変なのに。」

少しキツくなってしまった言い方に、
体を起こして二宮が謝る。

「ううん。今の状態で続けても進まなし、
ミスのもと。
今日は帰って、休んで。」

ニ「でも!」
とたんに怯えた表情。

…俺はよく、言葉が足りないって言われる。
何考えてるかわからないって。
ニノ、怒ってるんじゃない。幻滅してるんでもない。
ただ心配してるんだよ。



「ニノ。
俺、またニノが倒れたらやだな。」
出来る限り、ゆっくり、優しく伝えてみる。

ニ「っ…。」
弾かれるように俺の顔を見て、直ぐに目を伏せた。


もう2年前のようなことは繰り返したくない。


「後輩のフォローをするのも先輩の役目。
ニノは頑張りすぎちゃうからさ。
さっきみたいに弱音吐いてくれたの、
嬉しかったよ。
明日からまた頑張ろう。」

頼りにしてるんだからさ。

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