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きみがすき

第6章 *ゴ*

*二宮*




「「かんぱい!」」
冷たく冷えたジョッキをぶつけ、
ごくごくと、喉を鳴らす。

う~!最高にうまい!

大「ニノ、ホントにお疲れ。」
俺の隣には、ふにゃっと笑う大野さん。


.

それは遡ること、1時間前。


***

地獄のように忙しかったこの1か月。
やっと、企画や予算も上司の決裁が降りて、
一段落した。

今日は定時で上がれる!
大野さんには沢山迷惑かけちゃったけど、
この1ヶ月、俺なりに出来る限り
やれることはやった。

今日はゆっくり寝よう。
なんせ明日は土曜日!


そんなことを考えていた俺の耳に

大「ニノ、今日飲みいかない?」
急に飛び込んできた、大野さんの声。

びっくりしたなんてもんじゃない。

だって、大野さんから誘われるなんて
今までなかったから…。

文字通りポカンとしてしまった俺に、


大「あ、なんか予定あった?
ダメならまた今度誘うね。」
と、顔は笑ってるけど、大きく肩をおとす。
今にもシュンって音が聴こえてきそう…。


…何のこの生物。
無意識でこんなことするの?
歳上の癖に、可愛いでしょーが。

さっきまで帰る気満々だったけど、
今は、行く気満々になっている。

でも、なんとなくそんな気持ちを
悟られたくなくて、
「今日ですか?別に良いですよ。」
なんて、平静を装って答える。


途端に、パッと明るくなる顔。
「良かった!今日は俺のお勧めのお店で良い?」

つられて俺まで笑顔になった。

***


からのー。今。

大野さんお勧めのお店という、ここ。
THE 居酒屋って言う雰囲気の飲み屋。
明日が土曜日ってこともあってか、
店内は若者から、おじさん達まで、
ざわざわと賑わっていた。

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