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きみがすき

第7章 *ロク*

*大野*




21:25

「うわ、さみー。もう冬じゃん。」

ニ「11月ですからねー。」
ほうっと、ニノが吐き出す息が、
白く空中を舞う。


なんか秋なんて感じる暇もなかったな。
まぁ秋だからってやりたいこともなかったけど。



あのあと、翔くんは友達に呼ばれて
席に戻っていった。

仕事の解放感から、
気持ちは高ぶってるけど、
いい加減、身体はダルい。

少し早目の時間だったけど、
帰ろっかと、ニノに声をかけて店を出た。




ふと、空を見上げる。
『こんなとこじゃ星なんて見えないか…。』

隣を見ると、
俺と同じく、空を見上げてるニノ。
一点を見つめる目は、街灯の光を反射して
大きな瞳を涙が覆っているように見えた。


ニ「大野さん。」

ポツリと少し高めのニノの声。

「俺、

潤くんに会いに行ってきます。」

そう言って、俺に向けた少し笑った顔は、
すごく綺麗。




店は、駅に向かう途中にある。

あれから話さなくなったニノ。


きっと、余計なお世話。
けど、店までは一緒にいてあげたい。

いつもとは違う道で駅に向かう。



会いに行くってことは、
気持ちを伝えるのかな。


ねぇ、すきな人がいるってどんな気持ち?

楽しいの?
それとも苦しい?

すきな人に気持ちを伝えるって
どんな気持ち?
やっぱり…緊張はするだろうな。

でも、さっきのニノの顔、
俺には嬉しそうに見えた。




…ねぇ、翔くん。
翔くんは…?

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