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きみがすき

第7章 *ロク*



松「ぇ……か、ず…?」

俺達に…いや、ニノに気がついた松潤は、
元々大きな目を、限界まで見開く。


ニノは、松潤の方を見たまま。
その表情から、
何を考えてるかわからない。

松「……今の…見て…」
松潤が、ニノに近づこうと体を動かした。


同時に、ニノが一歩後ずさる。


ニ「…潤くん、の…」

俺の距離でギリギリ聞き取れる
小さな声。

松「え?」

下を向いて、スウーッと息を吸い込むニノ。

ニノ? と声をかけようとしたその時、



ニ「潤くんの!!バァーカ!!!!!」

思わず後ろに仰け反る位の大声。
声が周りの建物に反響する。

驚いて動きが止まる。俺と松潤。
ハァハァと息をするニノ。

どうして良いかわかんなくって、

「だ、大丈夫?」
と、俺がニノの肩に手を置こうとした
その瞬間、クルッとニノは体の向きを変えて、
駅とは反対方向の、元来た道を
走り出した。


松「かず!!」
「ニノ!」

声を出すのが先か、
体が動くのが先か、

ニノの後を追いかけようとした


けれど、振り向いた先にあった
何かに、思い切り顔をぶつけて、
俺は、ニノの後を追うことが出来なかった。


「ぃっつ…!」
何!?
反射的に、俺の目の前にある物を確認しようと
手で押して、体を離す。

「潤!行って!」
知らない声と共に、
がしっと、後頭部を押さえられて、
「ぶっ」と、俺はまた顔をぶつける。


松「え、でも!」

「いいから!ニノ追いかけて。
店はなんとかするから。」

少し高い優しい声。

『なんなんだよ』


松「っ…。雅紀!

サンキュッ!」

辛うじて、
松潤がエプロンを外し、
マサキって呼ばれた人にそれを投げ
一瞬で居なくなるのが
横目で見えた。


俺はと言うと、じわりと
おでこに伝わってくる熱と、
ふぅっという、安堵をしているような
ため息が耳に当たって

俺が今、マサキって人の身体に
押し付けられている事がわかった。

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