テキストサイズ

きみがすき

第7章 *ロク*



「…」

「……」

「………」

いつまでたっても、力が緩まない腕。
端から見たら、男と男が抱き合っている姿。

『えーっと…何してんだ俺?』

いい加減、離して欲しいと、
身体に力を入れる。


と、
相「ごめんなさい!
俺、今すげー意地悪しちゃった!」

急に体を離されて、
体が当たっていた部分に、
冷たい風が触れる。

目の前には、
パンッと両手を合わせて
頭を下げてる人。

え?

「意地悪?」
突然の言動に、意味がわからない。


相「うん。どーしても行かせたくなかったの。」
と、片目を開けて俺を見る。

申し訳なさそうなその目は、少し茶色。
風に揺れる髪と同じ色。

相「松潤とニノの、邪魔して欲しくなかったの。」
ごめんなさい!と、また頭を下げた。


『…あ、そうか。』

「ううん。
止めてくれてありがとう。」
だから、顔上げて。と声をかける。

相「…え?怒ってないの?」
と今度は、きょとんとした表情。

「ん?だって、俺の出る幕じゃないじゃん。」

相「…」
なんだか納得してないみたいな顔。
なんか変なこと言った?


相「…あ!あー!」
と今度はいきなり声を出す。
なんなんだこの人。


相「店!片付けないと!」
ヤバイ!っと、焦った声と顔で、
下に置いてあった荷物をガサッと掴んで、
店の中に入っていく。


俺の腕も掴んで…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ