きみがすき
第8章 *ナナ*
相「大ちゃん?」
相葉ちゃんが不思議そうに見る。
「あ、ごめん。」
なにやってんだ俺。
おもちゃ取られた子供みたいじゃん。
「…エプロン、ありがとう。」
無理に笑って
上がっていた手を下ろした。
相「?。ううん。」
なんか変だ俺…。
*****
カラン。と店の扉を開ける。
目の前には、
ふわふわと空から舞い降りる。
真っ白な…。
「「ゆきだぁ」」
白い息と声が被る。
あ、とお互いに顔を見合わせて、
ふふって笑っちゃった。
寒いわけだ。
ふわふわと空中に漂うゆきは、
まだ消してない明かりに反射して、
キラキラと輝く。
相「綺麗…。」
ポツリと呟いた相葉ちゃん。
マフラーで半分顔が隠れた横顔。
ゆきに負けないキラキラした瞳は、
すごく嬉しそう。
行こっか。と店の明かりを消して、
扉にカチャっと鍵をする。
少し前を歩く人は、
少し大きめのパーカー。
に、マフラーはしてるけど、
寒くないのかな?
相「♪~♪♪~♪~」
ご機嫌な鼻歌が聴こえる。
『赤鼻のトナカイ。だっけ』
てか、俺もマフラーしてくれば良かった。
まさかゆきが降るなんて思わねーもん。
「…ひっくしゅ!」
うー…さむっ!
思わず、肩をすぼめる。
と、ふわっと目の前が見えなくなったと思ったら、
首に暖かい温もり。
相「風邪引いちゃう。」
見上げた先には、優しく笑う相葉ちゃん。
その首にはマフラーはなくて、
俺の首に巻かれていた。