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きみがすき

第9章 *ハチ*



智くんの真っ直ぐな目を見てられなくて、
思わず、自分のコップに目を落とす。


大「翔くん。


ありがとう。


…でもね。


俺は翔くんの気持ちに答えられない。」

横から聞こえたハッキリとした声。



…ああ、わかってる。
わかってるよ。

別に付き合いたいとか、成就させたい
なんて思ってた恋じゃない。

…でも、そんな俺の頭と心は矛盾してて、
止めようとしても、
目頭が熱くなるのは止められない。



グス…。

…グスッ。


…。


「…なんで智くんが泣いてんのよ…。」

鼻を啜る音がする方には、
当たり前だけど、智くんしか居なくて、
その頬には、既に涙がポロポロと
流れている。


大「泣いてない!」

「…はい?」
どの口が言う?

大「俺…が、…泣いちゃ…ダメだから…。」

いやいや、声。ぶれぶれですけどね。



「…とりあえず、拭いたら?」
と、ティッシュボックスを渡す。


大「あ…り、がどう…。」
チーン!と鼻かんで、
もう既に真っ赤な目をした、
智くんと目が合う。



「ぷっ…ふふふ」


大「…翔くん?」
俺を見て間抜け顔の智くん。

わかってる。笑うところじゃないのは。
でも…

「あははは!
もぉなんなの?!
ひっでぇ顔!

てか、ここは俺が泣くとこでしょ?
なんで智くんが泣いちゃうの。」

ダメだ、つぼった。

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