きみがすき
第9章 *ハチ*
「く、くるし…。」
ひーひー言ってる俺の横で、
涙目でポカン顔。
大「…。
あ、も、もしかして、
俺間違った?
翔くんが、俺をすきなの勘違い?」
ぼわっと一気に顔が赤くなる智くん。
「いやいや!
そこじゃない、そこじゃない!
俺が智くんのこと、
すきだったのは…じ、じつ…だから。」
勢いで言っちゃったけど、
改めて言うと照れるな。
最後の方の声は小さくなってしまった。
俺、今絶対顔赤いわ。
「だ、だからさ!
智くんが泣くことじゃないでしょ。」
いまだに頬に痕を残す涙を、
親指で拭ってやる。
「…智くん。
いっぱい悩んで、いっぱい考えて
今日、来てくれたんでしょ?」
普段、ぼーっとしてるように見えて
誰よりも周りの事気にして
考えてるんだよね。
優し過ぎるんだよ。
「あんな伝え方だったのに、
向き合ってくれて
返事、訊かせてくれて
ありが…」
俺が言い終わる前に、遮られた言葉。
もうすっかり暖かい
智くんの身体に包まれた。