きみがすき
第10章 *キュウ*
まぁでも、ガツガツしてない、のほほんとした
そんなところが大野さんの魅力なんだろうな。
女の子にデレデレしてる大野さん。
うん。想像できない。
大「…ん?
二宮どした?」
あ、やべ。つい大野さんを凝視しちゃった。
「いえ、なんでもないです。」
慌てて視線を外す。
大「? そう?なら良いけど。
なんか見つめられてたからドキッとしちゃった。」
と、ふにゃっと笑った。
あーあー。またそんな無防備な顔しちゃって。
遠くで「きゃー」とか「かわいー」とか小声だけど黄色い声が聴こえる。
別にあなたたちに向けた笑顔でもないのにね。
なーんて俺って性格悪い?
うーん、じゃぁ
代表して聞いてあげよう。
「大野さん。」
大「ん?」
「どんな人がタイプなんですか?」
大「え?たいぷ?」
「はい、タイプ。」
パチパチと瞬きをする大野さん
大「どしたの急に?」
ごもっともな反応。
「ただの興味本位です。」
ニコッと笑顔を返す。
大「興味本位って。」
なにそれって眉毛を下げた。
「で、どうなんですか?
どんなひとが、タ、イ、プ、なんですか?」
大「……。」
困ったように笑ってじっと俺を見る。
と、思ったらその口元がゆっくりと上がり
大「そんなに知りたい?」
にっこりと笑った。
「え…あ、はい。」
大「俺のタイプはね…。」
そう言うと、俺の耳元に手を滑らせ
大「…ニノだよ。
笑うと可愛くて、ちょっとひねくれてて、でもほんとは誰よりも優しいところ。
すごくすき。」
滑らせた手が、俺の顎までくると
気がついた時には、大野さんの顔が目の前。
にあったかと思うと、艶やかな唇が俺の頬っぺたに触れるか触れないかのところで止まる。
そして、俺にしか聞こえないトーンで
『なんちゃって』
チュッ
って、音をたてて離れていった。