きみがすき
第10章 *キュウ*
え…?なに?
大野さんは、そのまま立ち上がって、何事も無かったように俺の横を通り過ぎていく。
ぇえ?!
大野さんを追いかけようと、立ち上がる。
だけど、それはできなくて。
何故なら、その一部始終を見ていた回りの人に捕まったから…。
「「「今の!何?!」」」
「お前ら、そうゆう事だったの?!」
「仲が良いとは思ってたけど…男同士なのに、なんか見惚れちゃったよな。」
などなど、口々に言われて、
まって!俺が一番状況飲み込めてない!
てか、ちゅぅされてない!
音だけ!ふりだから!
質問?攻めにされて焦ってる俺の目に、
遠くで大野さんが、
あっかんべー。をして、天使のような笑顔を浮かべたまま、フェードアウトしていく姿が目に入った。
『逆にからかわれた!』
今更気がついた俺。
後の祭。
そのあと、先輩やら、同僚やらに
質問攻めにあって、俺には他に付き合ってる人がいますとか、余計なことまで暴露するはめになった。
もう…。
職場で仕事モードな大野さんをからかうのはやめよう。
と、強く心に決めた。