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第17章 大野智という男。



O side


O「・・・・。」

眠いな。
面白いテレビもやってないし、もう寝ちまうか。


飲みかけのビールをグイっと飲み干して立ち上がった時、インターホンが鳴って驚いた。
こんな時間にいきなり訪ねてくる知り合いなんか、俺には居ない。


ハズだったんだけど。


O「え・・・・ニノ・・・?」


モニターに写っているのは、間違いなくニノだった。


N「お邪魔しまーす!」


O「どうしたんだよ・・・おい、何でそんな薄着なんだ?」


機嫌が良さそうにニコニコとしているが、酔ってる訳でもなさそうだ。


O「連絡くらいしろよもう・・・」


N「何かあんま驚いてないね?」


翔さんだったらスゴイ騒いでそー、なんて言ってクスクス笑っている。
いや、俺もかなり驚いてんだけどな。


N「家入んの初めてだなー。
結構キレイだね。あ、飲んでたの?」


勝手に部屋を物色していたニノが、ソファにちょこんと座った。


O「・・・・・飲むか?」


N「んふふ、そうだね。」


冷蔵庫からビールを出そうとして、やめた。
貰いもんのワインがあったハズだ。
鍋にワインを入れて、オレンジをスライスして放り込んだ。


N「・・・何してんの?」


O「ホットワイン。」


N「え?!あなたそんな洒落たもん飲むの?!」


心底驚いた顔をして、俺の手元の鍋を見つめるニノ。


O「実家で、ねーちゃんがまたに作るの飲んだ事あるんだよ。
自分で作んのは初めて。」


随分体冷えてるみたいだし、ビールより良いだろ。


N「・・・・・・。」


O「不味くても文句言うなよ。」


大人しくなったニノをソファに促して座らせる。
ホント薄着だな。
荷物もなんも持ってないし。


O「・・・迷子にでもなったか。」


N「・・・ふふっ、うん。そうかも。」


ホットワインを一口飲んだニノは、ふぅ、とひとつ息を吐いて目を閉じた。


N「あったかいなー。」


O「ねーちゃんはハチミツも入れてたんだけどな。
ウチにはオレンジしか無かった。」


N「美味しいよ、甘めのワインだから、ハチミツなしのが良いよ。」


O「へぇ。」


ワインの味によって入れるもんも変わんのか。
まぁ、そりゃそうか。面倒な飲み物だな。


自分も一口飲んでみたけど、ねーちゃんが作ったやつよりは不味かった。

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