スイッチ
第17章 大野智という男。
A side
ヤバいヤバいヤバいヤバい。
どうしたら良い?!
慌てて追い掛けたけど、完全ににのを見失ってしまった俺は途方に暮れた。
スマホも財布も置いていったにの。
上着も着てなかったんじゃないかな・・・
すぐ戻ってくるつもりなのかな。
戻って来なかったらどうしよう。
まさか、香水のニオイが残っていたなんて・・・
いや、今そんな事考えても仕方ない。
とにかくにのを探さなければ。
メンバーにそれぞれメールを送ると、すぐに翔ちゃんと松潤から返信が来た。
心配してくれてるけど、にのは一緒にいないみたいだ。
おーちゃんはもしかしたら寝てるかも・・・
ていうか、あんなに怒ってたんだ。
簡単に見つかるメンバーの所には居ないかもしれない。
A「にの・・・」
あんな取りつく島もないくらいに怒るなんて思わなかった。
大っ嫌いだと言われた事を思い出して泣きたくなる。
早く会って謝りたい・・・!!
またにのの可愛い笑顔が見たい!!
とにかく、にのが行きそうな所・・・
仲の良い先輩や後輩のもとへ片っ端から電話してみる。
こんな夜中にメンバー探してるなんて変かも知れないけど・・・一大事なんだ!
後で言い訳考えれば良い!
俳優仲間んとこ居たら、もう分かんないなぁ・・・
俺、番号知らないもん・・・
寒空の下、かじかむ指で必死にタップしていると、おーちゃんからメールが届いた。
“迷子の猫を保護しています。”
A「・・・・・・・は?」
猫拾ったの?
こんな都会に迷い猫なんているんだ。
てか今それどころじゃないんだけど!
・・・・・・・・・ん?
もしかして、迷い猫って。
俺の可愛いにゃんこの事?!
続いて届いたメールには、おーちゃん家の住所が書いてあった。
居るんだにのが!
“泊まるって言ってるけど、このまま預かってても良い?”
A「良いわけないじゃん!!」
体当たりする勢いでタクシーを止めた俺は、おーちゃん家まで急いだ。