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第17章 大野智という男。



N「・・・・・・・・。」


あれ・・・?
なんか、どれも浮気と決めるには弱い気がしてきた。


O「あ。」


N「え?」


スウェットのポケットに突っ込んでいた猫耳が少し見えているのに気付いた大野さん。


O「おお。こんな立派なモンだったのか〜。」


・・・相葉さんの浮気話の途中だよね?
何のほほんとしてんの。


O「付けてよ。」


N「はぁ?!え、ちょっと・・・!」



O「やっぱ可愛いな。」


ほらな〜ニノは黒猫だよ、翔くん分かってねぇんだ、とご機嫌で話す大野さんについ俺も笑ってしまう。


おかしいな。
すっごく悲しくてすっごく怒ってたのに。


今は、もしかしたら俺の勘違いだったのかもしれないとまで思っちゃってる。



・・・何でだろ。



ふいに、大野さんと目が合う。


O「体温まって、頭もあったかくなっただろ。」


あ、心もって言った方がカッコ良かったか・・・と言いながら、冷めたホットワインを啜った大野さん。


N「・・・かっこいい。」


O「あ、まじで?」


まじで。
今、ちょっとグッときた。


ふにゃりといつものように笑う大野さんを見て、無性に相葉さんに会いたくなった。


相葉さんも笑顔が素敵なんだ。
今日だって飛び切りの笑顔で帰ってきてくれたのに・・・


N「何で、理由もちゃんと聞かず怒鳴っちゃったんだろう・・・?」


O「別に、今から聞けば良いだろ。」


なんて事ないように言われて、またひとつ心が軽くなった。


N「・・・ありがとう。大野さん。」


O「ん?何もしてないけど。」


N「ホットワイン、また作ってくれる?」


O「おお、今度はオレンジ少なめにするか。」


あ、大野さんもオレンジ入れすぎたって思ってたんだ。


ふふふっ、何かオカシイ。
恋人とケンカしたのに、ホットワイン飲んで癒されて。
話した内容はほんとに些細な事だけなのに、こんなにも穏やかになれて。




O「シッポは持ってきてねーの?」


N「は?」


O「シッポ。」



・・・やっぱこの人良く分かんない。



大野智、恐るべし。



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