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第20章 憧れ?好き?



M side



S「あ!忘れてた!!」


デニムの後ろポケットから、翔くんがジュースを取り出した。


M「あ・・・」


S「せっかく俺が買ってやったのに、忘れてんじゃねーよ。」


ニッと笑って俺の手にポンと乗せる。
翔くんの暖かい手が触れて、胸の奥が少しキュッとなった。


M「ありがとう。」


S「またどっかに忘れないうちに飲んじゃえよ。」


M「いや・・・帰ってから飲むよ。」


やっぱりこれは宝物になりそうだから。
翔くんに追いつけたと思える日まで取っておこうかな。



S「さて、帰るか。」


M「あのさ、」


S「ん?」


M「今度、飲みに行こ。次の日が早くない時にさ。」


ちょっと驚いた顔をした翔くんは、すぐに優しい笑顔になって俺を小突く。


S「俺はいつでも良いよ。何が食べたいか考えといて。」


ウインクなんかするから笑ってしまった。
頭が良くてカッコ良いのに、率先してふざけた事する翔くん。


やっぱり今でも俺の憧れの人なんだ。
素直に認めたら、モヤモヤしていた心がスッキリ晴れたような気がした。


素直になるのも悪くない・・・
寝不足が続いていたが、今日は良く眠れそうだ。


翔くんと飲みに行く約束、早く日にち決めたいな。
どんな店連れてってくれんだろう。


こんなにもワクワクしてる自分がオカシイ。
やっぱり、今日もなかなか寝付けないかも。


ふふっと笑った俺を見て、また思い出し笑いかよ!と頭をポンとされた。


・・・ホント昔みたい。
翔くんと笑いながら並んで歩くこの時間が、少しでも長く続けばいいのにな、なんて。


隣の翔くんの笑顔を盗み見ながら、そんな事を考えていた。


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