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スイッチ

第22章 苦くて甘い。




S side


テーブルに突っ伏した俺は、全く減っていない自分のグラスをぼんやりと見つめる。



S「・・・こないだ、潤が飲みに行こうって言ってくれたんだ。
もう行ってくんねーかな・・・」


あの時は昔みたいに笑ってた。
変わってないなって思って嬉しかったんだけどな・・・


O「誘えば良いじゃん。」


S「・・・でも、お兄ちゃんもう嫌われてるし。」


グスンと鼻を鳴らす俺を、呆れ顔で智くんが笑う。


O「打たれ弱い兄ちゃんだなぁ。」


何とでも言ってくれ。


O「それにしても、呼び方統一してくれよ。
なんか気持ちわるい。」


S「え?」


O「松潤って言ったり潤って言ったり。」


S「まじで?潤なんか言ってた?」


O「ここ最近、半々くらいで呼んでる。」


無意識だった・・・
潤なんて、もうずっと昔の呼び方だ。


S「・・・昔のように懐いてくれるのを、どこかでずっと期待してたのかな。
あいつを必要としてたのは俺だったのかも・・・」


O「翔くん・・・」


S「俺、大人になっても潤は昔の子どものイメージのままなんだな。
もう俺よりしっかりしてるのに。」


O「昔の松潤は翔くんがいないと何も出来ないくらい甘ちゃんだったからな。」


S「弟離れ出来てないのは、俺か・・・」


O「弟なのかなぁ・・・」



智くんが意味深に笑う。




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