スイッチ
第10章 波乱。
A side
目覚ましのアラームが鳴り、ダルい体をモソモソと動かす。
あぁ・・・まだ寝ていたい。
最近は特に忙しくて、体力には自信がある俺もさすがに疲れてきた。
今日から泊りでロケの仕事だ。
これが終わればスケジュールも落ち着くから頑張んなきゃって思うんだけど・・・
あの華奢で可愛い体を抱きしめたい。
むにむにのなめやかなホッペに触りたい。
にの、何してんのかなぁ・・・
あ、ヤベ。
ベッドの中でにのちゃんの事を考えるのはダメだっ
朝から自分で慰めたくはない。
スマホを手に取ろうとした時、着信音が鳴って驚いた。
A「え?にのちゃん?」
こんな朝からどうしたんだ。
慌ててスマホをタップすると、俺が喋り出す前に小さな声が聞こえてきた。
N「ぁ、起きてたの?」
A「え?うん、さっきね。」
N「なんだ、起こしてやろうと思ったのに。
出るの早いからビックリした。」
なになに?
モーニングコールって事??
A「くふふ、俺ひとりで起きれるよ?」
N「・・・いつも二度寝するじゃん。昨日飲んでたし。」
A「そっか、ありがとね♡」
ちょっと拗ねてるようなにのちゃんの低い声。
甘えたい時、こんな声を出すって俺もう分かっちゃってるからね?
俺の声が聞きたかったんでしょ?
にのちゃんと付き合うようになって、意外だった事がふたつある。
ひとつは、にのちゃんがわりと我慢するタイプだという事。
俺に対してはワガママを我慢しないと思ってた。
だから、にのちゃんにすごい束縛されるのかなー、なんて思ってたんだけど。
N「昨日、結構遅かったの?」
A「ああ、うん、結構盛り上がっちゃって・・・帰ったらすぐ寝ちゃった。連絡しなくてゴメンね?」
N「いや、連絡なんか良いけど。」
寂しかったって声してるじゃん。
本当はきっと連絡待ってたんだろうな。
・・・遅くなったけど、ちゃんと帰ったよってメールすれば良かった。