スイッチ
第10章 波乱。
ケンカなんて珍しい・・・とスタッフに心配されたが、大した事じゃなかったにせよ、心配おかけしました、と何度も頭を下げて納得してもらった。
S「先に戻ってろ。」
N「え、」
翔さんと先輩を残していくのはちょっと・・・
先輩なに言うか分からないし。
A「翔ちゃんありがとう。行くよ、にの。」
戸惑う俺の肩を抱いて、相葉さんが楽屋へと歩き出す。
S「雅紀、お前はとりあえず落ち着けよ?」
A「分かってる。大丈夫。」
相葉さんがどこまで分かってるのか怖い。
いや、たぶん何も知らないハズだ。
N「相葉さん・・・あの、」
A「なに?」
ん?と笑顔を向けられたことに面食らって、何も言えなくなる。
A「疲れたでしょ。楽屋であったかいコーヒー飲もうね。」
よしよし、とキャップの上から頭を撫でられて、そのまま胸に抱き寄せられた。
相葉さんの体温だ・・・
今までの緊張が一気にほどける。
泣き過ぎて痛むこめかみも、包み込まれて温かくなった。
心配かけてごめんなさい。
俺、ホントどうしようも無い奴だ・・・
助けられてばっかり。
N「相葉さん・・・俺、話さなきゃいけない事がある。」
相葉さんの体が、少し強張った。